週刊ベースボールONLINE

よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

盗塁に備えた投手のウエストボールを捕手がキャッチャースボックスから大きく出て捕球。これはボーク?

 

フォアボールで出塁した一塁ランナーは、さっそく大きなリードを取り、いかにも二塁に走るぞというアピールをしています。これを見た捕手は、次打者の1球目に遠く外れるウエストボールを要求しました。投手が投げるよりも早く、捕手はキャッチャースボックスから両足を出し、投球を飛び上がってつかみました。案の定、1球目に一塁走者はスタートをしてきたので、捕手は二塁へ送球し走者をアウトにしました。しかし、攻撃側ベンチは「投手が投げる瞬間にキャッチャーの足がボックスから出ていたから、これはボークである」との主張です。このとき、一塁走者は二進が許されるでしょうか。

 ボークではなくプレーはそのまま続けられます。

 規則4.03は試合開始時の守備側各プレーヤーの位置について述べていますが、その(a)には、

「故意の四球が企図された場合は、ボールが投手の手を離れるまで、捕手はその両足をキャッチャースボックス内に置いていなければならないが、その他の場合は、捕球またはプレイのためならいつでもその位置を離れてもよい」

 とあります。[問]の場合は、敬遠の四球が企てられていたわけではなく、この条項を適用するわけにはいきません。

 ボークの規則である8.05の(L)は、

「故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合」

 にはボークであるとしています。

 これに続く[注]には、

「“キャッチャースボックスの外にいる捕手”とは、捕手がキャッチャースボックス内に両足を入れていないことをいう。したがって、故意四球が企図されたときに限って、ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば、本項が適用される」

 とあります。

 なお、故意四球が企図された際に、キャッチャースボックス外の捕手に投球した場合はボークとなります。
よく分かる!ルール教室

よく分かる!ルール教室

元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング