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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

左翼手が大飛球を一度はキャッチもフェンスに激突した衝撃で落球。審判はフェアの判定だがアウトではないのか?

 

左翼手は大飛球に背走して追いつきキャッチしましたが、勢い余ってすぐ後方に迫っていたフェンスに激突し、ボールを落球してしまいました。ジャッジのため、この飛球を追い掛けてきた三塁塁審は、一連のプレーを確認後、両手を広げてフェアのジェスチャーです。これを見た守備側の監督はプレーが止まったのち、「グラブに収め、その後に落球したのだから打者はアウトだ」と抗議しましたが、この場合の正しい判定とは?


 これは各審判員の判断の問題で、「正規の捕球の前に落とした」と判定されれば、アウトではありません。捕球に関しては、野球規則内にある“用語の定義”にこう書かれています。

「CATCH[キャッチ]──野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない。(中略)野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、“捕球”と判定される」

 また、この定義の末尾には「要するに、野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも“捕球”と判定される」とありますから、審判の見た目が大事になるわけです。

 1987年4月29日の大洋-阪神[横浜]の3回表のことです。阪神のバースが右翼フェンス際に大飛球を放つと、大洋のホワイト(右翼手)がこれを一度はグラブに入れたものの、フェンスに激突した衝撃で落球しました。大洋側から完全捕球のあとの落球と抗議がありましたが、審判は認めず、12分間も中断したことがあります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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