あの年の開幕戦はサヨナラ負けだった。今から30年前の1985年、4月13日
広島市民球場。ビジターでの広島戦に臨んだ
阪神は3対3まま延長戦に突入した。10回表、代打・
北村照文が左前打で出塁して、犠打で二進。勝ち越しのチャンスをつくったが、信じられないプレーが飛び出す。二塁手・
木下富雄が隠し球。一瞬にしてチャンスがついえてしまった。そしてその裏、
山本和行が
福嶋久晃にサヨナラ二塁打を浴びて、サヨナラ負けと阪神は最悪なスタートを切った。「今年は優勝できるかもしれない」とキャンプ中に語り合っていた
掛布雅之と
真弓明信は帰りのバスの中で「そんなにうまくはいかないな」と顔を見合せたという。
しかし4日後、球史に残る伝説のシーンが生まれた。甲子園球場での
巨人戦。7回に
槙原寛己からバース、掛布、
岡田彰布のクリーンアップがバックスクリーンへ3連発を放った。新ダイナマイト打線はシーズン最後まで火を噴き、阪神は21年ぶりの優勝を飾った。
今年の阪神は開幕の
中日戦(京セラドーム)で2試合連続サヨナラ勝ちと30年前と真逆のスタート。球団創設80周年の今季、果たしてどのようなシーズンになるのだろうか。