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本誌編集長コラム

工藤ホークス死角なし

 

 優勝へのマジック35(8月10日現在)と2年連続の頂点へ突き進むソフトバンク。巨大戦力を自在に操る工藤公康監督の手腕も称賛するべきだが、指揮官のさい配に応える選手を心底、頼もしく感じているのではないだろうか。1995年、現役時代の工藤監督が前身のダイエーに移籍してきたとき、チームの成熟度は真逆だった。常勝西武でプロは優勝してナンボという野球観をたたき込まれた工藤監督。自分の結果よりチームの勝利を優先するのは当たり前。しかし、万年Bクラスのダイエーにそんな価値観がない。憎まれるのを承知でナインにゲキを飛ばし続けた。

 99年、悲願の優勝を遂げたが、工藤監督はシーズン最終盤の9月11日近鉄戦(大阪ドーム)、8回裏二死、ノーヒットノーランまであと4人というところで鈴木貴久にソロアーチ。だが、マウンドでは笑う余裕さえあった。「勝てば、記録はどうでもいい。あんなのやるとろくなことがない」とサラリ。まさに、強いエースの姿がそこにあった。現在のチーム全体に、チームの勝利が第一という精神が覆っているのは間違いない。福岡移転後、初優勝から16年――。ソフトバンクに死角はない。
野球の風

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週刊ベースボール編集長の編集後記。球界の動きや選手に対して編集長が思いをつづる。

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