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Vol.20 中道大波[帝京高・内野手]
広角へ打てる右の和製大砲

 

4年ぶりの夏甲子園出場を目指す名門・帝京高。毎年、好選手を輩出している中で、2015年の顔は「四番・三塁」の大型内野手だ。主将としてのリーダシップも旺盛であり、この夏、東東京大会の主役へ躍り出る。
取材・文=岡本朋祐

帝京の代名詞と言えば「パワー野球」。今年の打線にも185センチ82キロと相手を“威圧”できる不動の四番がいる[写真=田中慎一郎]



パワーアップのためランチに毎日米三合


 甲子園歴代3位タイ51勝の帝京高・前田三夫監督と言えば、職人の域を超越したノックがあまりにも有名だ。内野手の球際へ、追いつくか追いつかないかのギリギリの打球を打つ。それこそ指揮官と選手にしか分からない、コミュニケーションの場。ホットコーナー・三塁を守る中道大波も前田監督の意気にこたえて、幾度もボールに飛びついていく。「おいおい! 無理か!」。6月で66歳となる名将はまだまだ元気。だからこそ、主将は周囲が気を抜いたプレーをすればゲキを飛ばす。

「おーい! タッチの声が小さい! 飯食ってねえからだろ!」

 帝京と言えば伝統的に、大型選手をそろえるイメージがある。タテジマのユニフォームがより、たくましさを際立たせる。185センチ82キロの中道はまさしく「名門・帝京」の象徴と言えるほど、堂々とした体格だ。

 ところが今春、前田監督の基準からすれば、パワーが物足りなかった。都大会4回戦までに、3試合で本塁打ゼロ。ついに、重い腰を上げた。「米三合トレーニング」の復活。12時30分、昼休みに部室に集合。野球部が用意した、たっぷり入ったコメ三合を一気に胃袋に押し込むのだ。誰よりも早く平らげる中道。食べ終えると、金田優哉コーチのチェックが入り「はい、合格!」と米粒一つ、残すことさえ許されない。

 同トレーニングは過去3度の甲子園で優勝の原動力ともなった帝京の“名物練習”だ。夏は体力――。全国の常連校も甲子園は2011年夏以来から遠ざかっており、前田監督は夏本番へ向けて、約10年ぶりに“勝負メニュー”を投入したのである。

 体作りと言えば、帝京における伝統のウエート・トレーニングも健在だ。かつて、帝京を指導した後、西武にも在籍した松本元明トレーニングコーチを再び招へいし、その熱心な指導によりメキメキと成長。スクワットは昨年のマックス95.6キロだったのが、冬場を経て140キロを上げるまでに。肌との密着度が高い、コンプレッションウエアを着た際はピチピチ。筋肉が隆々とその姿を見せている。なお、佼成学園との準々決勝で酒井雷太(3年)が待望の一発。春はノーアーチだった中道の量産態勢も、時間の問題と言えそうだ。

昨夏は予選の決勝であと一歩の甲子園逃す


 帝京グラウンドは両翼90.2メートル、中堅113メートルとやや手狭である。外野フェンスに沿ってある校舎はアーチ型。5階の建物にぶつからないように高いネットが立っているが・・・

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