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Vol.31 鈴木康平[国際武道大・投手] 千葉県大学リーグの“隠し玉”

 

千葉県大学リーグに“隠し玉”がいる。高校、大学を通じて全国舞台と縁はないが、そのポテンシャルの高さは早くから注目を集めていた。粗削りながらも、プロで技術を高めていけば大化けする可能性を秘める。
取材・文=大平明、写真=高塩隆

バットに当たらない!?
千葉県リーグの奪三振王


「投げるボールのすべてが良いわけではない。でも、1試合の中で何球か、とんでもないボールを投げる。預かった当初から、これはプロに行く素材だなと思いました」

 今春、監督通算600勝を達成し、数多くの選手をプロへ送り込んだ名伯楽・岩井美樹監督が、このようにスケールの大きさを高く評価しているのが国際武道大の鈴木康平投手だ。

 プロのスカウトの目もクギ付けにする最大の魅力は、岩井監督が「バットに当たらないボール」と表現するストレート。球速は150キロに届かないが「力まずに投げた144キロのストレートが、ものすごく速く見える。そういうボールはバッターも手が出ません」(岩井監督)。

 この言葉を裏付けるように、今春の千葉県大学リーグで投球回数を上回る三振を奪い、見事に奪三振王のタイトルを獲得した鈴木は「春のリーグ戦では『ここで三振が欲しい』という場面で取ることができました。個人タイトルは初めてだったので、自信になりました」と振り返る。

 なぜ、鈴木は真っすぐで三振が奪えるのか。その理由として挙げられるのはボールに角度があり、手を離れてからミットに入るまでの球道が良いことだ。本人も「球速は大事ですけれど、それよりもボールの質にこだわっています」と意識しているが、この真っすぐを手に入れたきっかけは中学時代までさかのぼる。

「もともと、スリークオーターで投げていたんですが、どうしてもシュート回転してしまって。それがイヤでボールに真っすぐな回転をかけるために投げ方をオーバースローに変えたら、ストレートが良くなり、ボールの回転数も多くなったんです」

 一般的に回転数が増えれば浮力が働き、ボールがホップしているように見えると言われているが、鈴木のストレートに皆がうならされる秘密は、ここにあるのだろう。

高校、大学を通じて、全国大会に出場した経験はないが、ポテンシャルの高さには目を見張るものがある



背中のコブを除去しケガの不安を解消


 2年秋のリーグ戦で5勝を挙げ、エース格に成長した鈴木。だが、3年時のシーズンは試練の年となった。高校時代から抱えていた肩やヒジの痛みが大きくなったのだ。

「高校2年のころから、肩が引っかかるような違和感があって。それをかばっていたせいで、肩やヒジが痛かったんです」

 ところが、不思議なことに、病院でいくら検査をしても肩やヒジに異常は見られない・・・

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