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野球浪漫2016

“変則右腕” 巨人・田原誠次「究極の脇役でいい、主役を支えられたら」

 

『一新』を掲げる高橋由伸新監督体制で、好機を生かした数少ない1人だ。過去4年のキャリアでは新人年(2011年)の32試合登板が最多も、出番にとらわれない起用法に応え、リリーバーの勲章でもある60試合登板をクリア。考える変則右腕は、サイドスロー転向10年目に、新たなスタートを切った。
文=三浦正(スポーツライター)


感謝してもし切れない高校時代2つの分岐点


 ある夜のこと。練習が終わり、いつものように自転車で、同級生の親友とともに家路に就いた。暗がりの中、気心が知れた相手と言葉を交わしていく。

「このまま野手をやっていても、俺、レギュラー、取れんやろ?」

 キャッチャーだった友人は選手間の力を客観的に判断し、本音を隠すことなく口にした。

「無理やろ」

「どうしよう?」

「ピッチャー、やりたいんやろ?じゃあ、やればいいやん。おまえ、もう野手としては出れないかもしれないんだったら、ピッチャーとして頑張ったらいいやん。アピールしたらいいやん」

 同じことを考えていた。いつも一緒に練習している良き理解者が背中を押してくれた。

「俺も、そう思う」

 気持ちが固まった。宮崎・聖心ウルスラ学園高2年生の夏が終わりを告げるころ、田原誠次は転機を迎えていた・・・

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