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巨人・鈴木尚広のコラム

今週のテーマ「失敗との向き合い方」

 


当連載の著者、鈴木尚広選手への質問を募集します。上記のリンクからお寄せください

失敗を許せるようになりました


 30歳を超え、試合終盤での代走という役割を任されるようになって以降、ファンの皆さんには“完ぺきなランナー=鈴木尚広”に期待をしていただいています。とてもありがたいことですが、どんな事柄においても、初めから100%完ぺきな人間など存在しません。もっと言えば、何かを突き詰めていくと、常に新たな課題・問題が見つかって、再び挑戦していくことの繰り返しだと感じます。いつまでたっても100%には到達しない。これまでの僕も、成功と失敗を何度も繰り返し、多くの経験を通してプロで戦い抜くための財産を増やしてきました。


失敗について考え、修正を行うことで一軍に定着、104試合に出場した2003年[プロ7年目]のころ。当時は外野のレギュラー争いをしており、失敗を許せるようになったのは代走をメーンとし始めた11年以降のことだ。背番号68(入団から06年まで)が懐かしい


 現在の失敗と若いころの失敗は、まったく異質なものです。特に入団直後の失敗には“根拠”がなかったように思います。盗塁を例に挙げてみても、とにかく走りたい、高い確率で成功させたいという思いに支配され、状況を考えずむやみやたらに走っていました。それこそピッチャーが投げれば、何が何でもスタートを切る。ただし、プロの世界はそう甘くありません。当然、失敗の連続で、イースタン・リーグの試合で6度盗塁を試みて、すべて失敗という苦い経験もしています。でも、当時はなぜ失敗しているのか分からなかった。そして思うんです。僕の脚力はプロでは通用しないのか、と。プロのピッチャーのクイックの速さ、投じるボールのスピード、キャッチャーの肩の強さ、正確なコントロールなど、走りたい放題で、失敗などなかった高校時代との圧倒的な違いを感じ始め、怖くなる。

 ただ、あるとき気付きました。失敗を恐れるのではなく、失敗から学び、考えることが大切だと・・・

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鈴木尚広『快足の“すゝめ”』

鈴木尚広『快足の“すゝめ”』

普段の様子ももちろんですが、特に僕とは切っても切り離すことができない“走塁”について、考え方(僕の哲学)やテクニック、トレーニング方法などをお伝えしていければと思っています。

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