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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画22】『特集 11年目のチャンス』【1958年9月10日号】

 

2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『これが巨人の現状だ〜優勝の自信は高し』


表紙は右が阪神田中義雄監督、左が巨人水原円裕監督


 今回は『1958年9月10日号』。創刊第22号で定価30円。中カラー見開きは『240万燭光下の熱戦』と題し、甲子園でのナイトゲームの雰囲気写真(絵)だ。見開きをタテに使い、構図も斬新である。ちなみに「燭光」は光の単位で、1はロウソク1本分の明るさらしい。240万本のロウソクが立っている球場は、想像すると、なかなかシュールだ。

 巻頭グラビアは再びページが減って6ページになったが、『自信をつけたタイガース』の見出しで、巨人戦に連勝し、意気上がる阪神を特集している。

 巻頭特集は『11年目のチャンス〜タイガース優勝の可能性』。グラビア同様、1947年以来11年ぶりの優勝に向け、盛り上がる阪神特集だ。なかには両軍、さらにセの他チーム選手のコメントも掲載されている。追われる巨人・水原円裕監督は「騒々しすぎるよ。これからが勝負なんだ。みんなよろめいたというけど、二度や三度、こういう波は、どこのチームにもあるものだ。たまたま阪神の上り調子とうちの下り調子がぶつかっただけのこと。優勝の自信はある」と語っていた。

 さらに『これが巨人の現状だ〜優勝の自信は高し』は巨人・川上哲治と詩人サトウハチローが対談。話はチームよりむしろ、引退がウワサされる川上自身に向き、明言はしていないが、「昔は、自分が打たないでみんなが打って勝っても何となく愉快な気持ちにならないんです。いまはもう何とも思わない。もう年だなあって冗談ですませるんです。だめだな、これは(笑)」と引退をほのめかす言葉が随所にある。

 今回は夏の甲子園もあり、中央グラビア、本文で優勝した柳井高のルポや延長18回再試合となった徳島商高対魚津高の熱戦などが掲載されている。ちなみに徳島商高のエースは現タレントの板東英二だ。

 当コーナーに頻繁に登場する連載『選手の秘密』は、今回もすごい。大洋の二軍選手で谷野彰投手の話だ。海南高出身で、キャンプで球を受けた土井淳捕手が「球がひねくれている。ボールはいちいちスライドするし、落ちるし、まったくおもしろい。イカスね、二、三年したら、実に楽しみだ」と称賛している。

 その秘密は、なんとカチカチに固まった指先だ。高校時代から毎日のように指先をフェンス(当時は板かコンクリート)にこすりつけ、もはや感覚もないという。おそらくはその硬い指でボールをかくように投げたのだろう。弾くナックルとは方向は逆だが、同じような変化をしたのかもしれない。残念ながら結局一軍登板はなかった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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