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【楽天】支配下に返り咲いた島井寛仁の挑戦【キャンプ取材現場発】

 

【楽天】支配下に返り咲いた島井寛仁の挑戦


二次キャンプでは自身の持ち味をアピール中だ


 機動力強化をテーマの一つとしている楽天に、“新星”が現れた。島井寛仁、26歳、2013年ドラフト5位入団も、2年目オフに戦力外通告を受け、育成契約となっていた。

 それでも17年シーズンに奮起する。イースタン・リーグでは打率.295と打撃面で成長を見せ、最大の武器である「足」では28盗塁をマーク。「育成になって目標を見失いがちだったけど、育成選手がファームで盗塁王になったら周りの反応がどうか。それが見てみたかった」。支配下が育成に負けていいのか。そんな反骨心があったという。

 2月21日、韓国・ハンファとの練習試合では臨時代走の特別ルールで登場すると、すぐさま二盗、三盗を決め、山下の犠飛で生還した。「ベンチにいる時点で(塁に立つ)イメージを作っていた。(相手投手の)クセじゃないですけど、外されても行けるという手応えがあった」。8回には内野安打で出塁すると、この日3個目となる二盗を成功させた。

 塁間のタイムは最速3秒14だが、速ければ成功するものでもないのが盗塁。そこでオフに見直したのは、もともと得意でなかったスタートの切り方だった。昨季までの同僚の大先輩・松井稼頭央西武)との自主トレで右足重心の姿勢から、内転筋に力を入れてほぼ均等の重心に変えた。「このほうが早くトップスピードに乗れる」と自信をつかんだという。

 試合では警戒され、執拗にけん制を受けたが、「戻れる自信があればスタートも切れる。何度けん制が来ても大丈夫です」。この活躍に梨田昌孝監督は「戦力として考えてもいいのかな」とうなずいた。

 プロ世界に飛び込んで6年目。島井はこれまでを振り返り、「育成の3年間がなければ今の自分はない」と断言する。苦労した分、晴れ舞台で疾走する「背番号0」も一際輝くはずだ。

文=富田 庸 写真=上野弘明
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