週刊ベースボールONLINE

週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画126】『特集 巨人軍100万のファンにかわりて』【1960年9月7日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

島田源太郎が完全試合達成


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1960年9月7日号』。定価は30円だ。ペナントレースも佳境。グラビアでは巨人・長嶋茂雄の決勝11号、広島大石清の対巨人7連勝、さらにセンターグラビアでは好調が続く大洋の若手、島田源太郎の完全試合達成が掲載されている。

 島田の完全試合は8月11日の阪神戦(川崎)だったが、連続写真連載『誌上野球教室』、『佐々木信也連載対談』でも登場と手厚い。

 佐々木は、この試合を偶然、“生取材”していたらしい。ただ、当初、記録には気付かなかったという。

「最初、全然分からなかったんだな。完全試合やっているというの。7回ころになって途中から来た人から、島田はまだ一人も走者を出していませんかって聞かれたんだ。全然知らない人に。それで気がついたんだ」(佐々木)

 島田自身は「ベンチの人とか、守っている人が盛り上げてくれたですからね。非常にその点幸福だったです」。まだ20歳、謙虚なコメントに終始していた。

 巻頭特集は『巨人軍100万のファンに代わりて』。5割前後でウロウロする巨人が優勝できるのか否かを正力松太郎日本テレビ会長ら最高首脳部に聞くという企画だ。

 優勝できるかの問いに正力は「いまはできるともできないとも言えない」と答えながらも「巨人軍はなんとしても強くないとリーグ全体がおかしなものになってしまうのだから」と言っていた。

 少年ファンから「巨人軍はなぜ弱くなったのですか」と聞かれたという品川主計前球団社長は「これからきっと大馬力をかけて優勝するから心配しないようにと答えました」。ファンからの手紙を球団首脳部にぶつけたり、やや意地が悪い企画でもある。その中で選手にも聞いているが、全員が「これから頑張るから、大丈夫です」的な答え。一番弱気は藤尾茂だった。

「こんなひどいペナントレースははじめてだが、最後の優勝を信じている。巨人が弱い弱いと世間の風当たりがきついが、確かに言われても仕方がない面もある。選手はただプレーに徹していけばいいのだが、そのつもりでも、どこか穴のあいたビニールの袋みたいに空気が抜けていく感じだ」

 12球団週間報告の大洋ページでは、中部謙吉社長が怪気炎をあげていた。

「野球で儲けようとは思わんが、いままで宣伝として毎年何千万という赤字を出してもやってきたわけだ。ところがこの調子でいくと、赤字をだんだんなくし、損なしというところまでいける希望が出てきた。そうなればワシもうれしい。もう社長の道楽なんて言われないですむ。宣伝もすごいよ。なにしろ大洋が強いと、マルハの缶詰を食べれば力がつくような気がするというのだから」

 以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。 

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング