今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 巨人に甘い金田?
今回は『1964年7月13日号』。定価は50円だ。
実際には誤審だったようだが、観客の妨害があったとホームランが幻となった
中日・マーシャル。この号では、自らロングインタビューに答えている。
そこでは「腹は立っているが、あまりねちっこく審判を批判する気になれない」ともあった。
理由はマーシャルの父親がマイナー・リーグながらプロの審判だったからだ。
少年時代、マーシャルは父親が、
「どんないい試合も審判が下手だと面白くないものだ。野球を楽しくするかどうかは審判の腕次第だよ」
と言っているのを聞いてきた。
父親は、マーシャルが自分の所属するパシフィック・コースト・リーグのサンフランシスコ・シールズに入団した際、
「息子と同じリーグで審判はできない」
と退職し、セールスマンに転じた。
マーシャルは父親のこの言葉を胸にプレーを続けてきたという。
「審判は常に口のうるさい新聞記者、熱烈なファン、両チームと4つの敵と戦っているのだよ。みんなを公平に満足させることは神様でなければできない。判定に不平で逆上したときも50パーセントは間違っていても、50パーセントは正しいと思ったほうが無難だよ」
マーシャルはこの件については、もう仕方がないと言いながらも、「若い審判をアメリカの審判学校に通わせるべき」と提案している。
国鉄・
金田正一の“巨人びいき”の発言が物議を醸していた。
6月23日のH紙で、低迷が続く巨人にこんなコメントをしたのだ。
「ONよ、しっかりせえ、巨人はこれからや」
「消えた迫力、長嶋(茂雄)よ、原始人にもどれ」
さらに
王貞治に対して、
「ワシ、いまやつが目の前にいたらタオルを投げる。ことしのこれまでの勝負、完全にワシの負けや。参りました。ああいう打者がいることは投手の励みになる。だからワシは巨人が好きなんや。でも、そんな選手がいるのにチームはあっぷあっぷしている。
あれで優勝できなかったらおかしいで。これからは一戦必勝の構えが必要や」
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM