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ペナントレースが終了し、各チームは秋季練習をスタートさせている。巻き返しをはかるべく動き始めたチームの中で、逆襲へのキーマンとなりうる選手への連載インタビュー。第1回目はヤクルトから雄平の登場だ。今季2年連続の最下位と低迷したヤクルトだが、チーム打率ではリーグトップを走り続けた。そんな好調な打線をけん引したひとりであり、来年も主軸として活躍が期待されている背番号41。昨季開幕直後に右ヒザのじん帯断裂で悔しい1年を過すも、レベルアップして戻ってきた男に聞く。
取材・構成=阿部ちはる 写真=金城聖子(インタビュー)、松村真行

新たに見つかった課題


 今季飛躍的な活躍を見せたヤクルトの雄平。プロ12年目ながら野手転向5年目と経験は浅いが、リーグ6位の打率.316、173安打、23本塁打をマーク。5月には月間MVPを獲得し、「賞を取れるなんて野手転向時には考えられなかった」と振り返る。野手転向後初めてフルシーズンを一軍で過ごした雄平。充実した日々を過ごし、いま何を思うのか。

 野手転向はして良かったです。転向時にはもちろん活躍をしたいとは思っていたんですけど、でも遠い、夢の話のような感じでした。今年はオールスターにも出場させていただきましたが、信じられないっていうのが正直なところ。今でもちょっと変な感じです。人生が変わったといったら大げさですけど、本当に今までとはちょっと違った新しい喜びを味わえ、なかなか賞を取ったこともなかったので、良かったです。

 1年間やれたことで今まで以上に課題が明確になりました。守備ではセンターを狙っていて、開幕からセンターを守っていましたが、ミスが多かったこともあり、ライトを守るようになりました。少しずつ安定はしてきましたが、守備位置が変われば打球の見え方は違うので、その後もセンターを守ることがありましたが打球判断というものに対して、まだまだダメだなと感じていましたね。それでも苦手だからこそ、それをクリアしていきたいですし、やっぱりセンターがいいです。

 もちろん打撃でも課題はあります。まずは、追い込まれてからのバッティング技術をもっと上げたい。細かく言うと、ギリギリの球はファウルで粘って、甘い球が来るまで待てるようなバッティングとか、打つポイントを手前にするんだけど、インコースも打てる打ち方とか。打てるときと打てないときがあるので、安定させていきたいですね。そのためにはボール球をより見極められるようにならないといけない。結果的に四球を取れたら、それはそれでベストなので。追い込まれてからの選球眼は特にもっと上げていきたいです。

9月29日の広島戦(マツダ広島)で広島先発・ヒースから2本塁打を放った雄平。「5回に打ったバックスクリーンへの本塁打は完ぺきでした」



一球一球に集中する


 雄平と言えばフルスイングが印象的だが、それはもともと意識していたものではなかった。4月に調子を落としていた雄平に、当時の小川淳司監督から「自分らしく、結果にこだわらないで思いっ切り打ってみたらいいんじゃないか」と言われたことがきっかけだったという。

 そうですね。その言葉をきっかけに思いっ切りいったら、フルスイングになってただけなんです。それで結果が出たので続けてやっていたんですよ。その後も調子を維持できた要因としては、一球一球に集中することができたからだと思います。調子が悪くなってくると、ヒットが欲しいという欲ばかり頭に入ってしまいます。なのでそういうのをやめて、とにかく集中して打席に立つとか、狙い球をしっかり決めて打席に立つということが大事。5月以降はそのことしか考えてなかったです。

 それがいい方向に行ったのかもしれませんね。走者がいるときといないときでも、もちろん状況判断はしますが特に意識を変えることはありません。チャンスとかプレッシャーがかかるようなところではいろんな雑念が入ってきやすいので、そういうときはより一層自分の狙い球とかイメージを持ってそこに集中します。雑念というのはここで打たなきゃとか、ここで打ったらヒーローだとかそういう考えです。

 自分のその日の調子や、打てないことが続いていたり、逆に打っていて過信してしまうこともあるので。そういった気持ちの波を消して、ボールに集中することを意識します。たとえ結果が出なくても、一球一球に集中することができていれば次につながりますから。

 5月の月間MVPに関しては、なかなかできることじゃないので、うれしかったんですけど、月間MVPはそのひと月だけの話なので、それを継続してくことが大事。そういった意味で今年は、毎月打率3割を打てていましたし、今シーズンの成績は自信になるかなとは思います。

 バッティングに関しては後半になって少しずつ気持ちの中で変化がありました。それはボール球で打席を終わりたくないということ。それが追い込まれてからもできるように、という意識が強くなっていきました。打った球がストライクゾーンにあることが理想です。結局ボール球というのはヒットになりにくいので。だからヒットになる確率や長打になる確率を高くするためには、ストライクゾーンに来たボールを打っていく方がいいんです。もちろんボール球を打ってヒットにすることもありますが、それでOKではダメだなって。

 打順へのこだわりも特にありませんね。試合に出れたら一番最高です。四番も経験させていただきましたが、あのときはホントに代役でしたから。バレンティンとハタケ(畠山和洋)さんがいなかったからなだけで、四番という意識もなかったですね。ただうれしかったですけどね。

 その後主に五番を打ちましたが、僕の五番は五番じゃないんですよ。実力と実績からいったらハタケさんですから。僕が五番だと思ったことは一度もないですね。ただ、出ている限りは絶対に打ちたいですし、チームのために今以上に貢献したい。その気持ちだけです。みんながチャンスで打っていかなきゃいけないですし、その意識は何番を打っても変わらない。チャンスでも打ちたいし、チャンスメークもしたい。

 今年山田(哲人)が最多安打を取って、自分も取りたいなと思いました。普段一緒にやっている身近な存在なので、よりそう感じましたね。シーズン中、山田はプレーの面でも刺激になっていました。毎日バンバン打ちますし、アイツが一番で打つので、僕も「打てるんじゃないか」と思えることができました。打てない状況が続くと不安になるので。山田のおかげで打てたこともあったと思うので、感謝しています(笑)。

 ただ、今の段階ではタイトルを取れるとかまだまだそういうレベルには達していないなとも思いました。いつか取れるように、というか来年にでも取れたらいいですよね。そういった意識は持ってやっていきたいです。

勝たないと意味がない


 今季の成績はどれも自身のハイスコアだ。その一方でチームは2年連続の最下位。そこで感じた悔しさは試合に出ていたからこそ、より強くなったのだという。

 1年やってみて、やっぱり力不足だなと感じました。勝てるチームの選手と僕を照らし合わせて、勝負強さだったり、球際だったり、いろいろなものに関してまだ足りない部分がたくさんあるなと。

 今年良かったことですか? ……ないです(苦笑)。やっぱりプロである以上、チームとしては勝つことがすべてだと思うんです。だから最下位ってことでいいことはないですよね。ほんと悔しさしか残らなかったです。自分がケガしなかったとか自分の成績っていうのは二の次なんだなって。勝たないとなにも意味ないな、悔しいなっていうのは感じましたね。

 今後チームに必要となってくるのは、個人個人のレベルアップだと思います。球際だったり、ここ一番の勝負強さだったり、そういうものを上げていく。そのためには日頃の意識もそうですけど、単純に技術を上げるってことも必要になってきます。あと僕は強いチームの選手を見たりして、勉強したりもしますよ。

 首位にいるチームとの違いは、接戦での勝負に弱かったこと。点差がついちゃえば、ウチも勢いがあるときはバンバン打ちましたし、大量得点で勝つんですけど……。

 でもこれって弱いチームの典型ってよく言われるんです。まさにそのとおりだなって感じです(苦笑)。守備のミスや大事な場面で打てなかったり、ピッチャーが打たれたりとか、そういうほんとにすべて。巨人や広島は接戦の展開では特に強く感じました。

 真中(満新)監督とは僕が二軍にいたころからずっと一緒にやっていました。すごく頭の回転が速いです。選手はやりやすいと思いますよ。コミュニケーションも取ってくださいますし、アドバイスも簡潔で分かりやすいです。

 例えば「とりあえずストレートだけを振れ」とか。当たり前のことですが、打席でその意識が弱くなっていたなと感じるときもありました。あれもこれも言われてしまうと、特に打てないときって分かんなくなっちゃうんですよ。全部取り入れてしまって。だけどそうじゃなくて一個これだけ、って言われると、とりあえずそれだけやろうって思って打席に立てます。すると打てたり、ボール球を見逃せたりできるようになるんです。

 来シーズンは、個人的には、より一層一球一球に集中したいです。チームへの貢献度を今年以上に上げていきたい。数字の目標は立てないです。今年も立てませんでしたし、数字とか結果を追ってしまうと、そういったことも雑念になってしまうので。ホームランへのこだわりも特にないです。今年もこんなに打てるとは思っていなかったので、びっくりしている部分はありますね。

 ですが数字を上げていく努力はしていきます。それはホームランを打とうという努力ではなくて、ヒットの数を増やしたいとか、もっと打てるような選手になりたいとか、そういうものの中の1つであって特別な意識はないです。

 まだまだ僕はレギュラーを取ったとは思っていません。結果を出したって言ってもまだ1年目なので。来年はセンターのレギュラーを取れるようにやっていきたいです。

 チームとしては、もちろん優勝を目指していきます。その中で最低の目標としてクライマックスシリーズ(CS)には出たい。CSに出れば可能性はすべてあるので。でもやっぱり目指していくのは優勝ですね。

逆襲へのKEYWORD

「球際」この言葉は今年の春季キャンプで二軍にいるときに伊東昭光二軍監督が言ってたことなんですよ。それがいつも僕の頭に入っていました。打つとか守るとかすべての球際を強くしていく。チームとしてそういったところに意識を置いていくことが大事なんじゃないかなと。球際を強くすることを一人ひとりができれば、チームとして強くなっていくのではないかと思います。

 そういえば真中監督は現役時代、本当に勝負強かったですよね。外野守備でも球際が強いんですよ。バッティングでもいいところで打ちますし。そういった選手が集まっているチームが強いイメージがあるので、僕自身も結果の数字を高くするのはもちろんですが、内容がいい選手になりたいです。

PROFILE

たかい・ゆうへい●1984年6月25日生まれ。神奈川県出身。174cm83kg。左投左打。東北高から2003年ドラフト1位でヤクルト入団。高校生��1左腕として入団しルーキーイヤーから一軍登板を果たすなど期待されたが、制球難に苦しみ09年オフより野手に転向した。13年には開幕一軍をつかむも、4月の試合中に右ヒザじん帯を断裂。復帰した今季は主軸として活躍し、来季もその勝負強い打撃に期待されている。14年成績は141試合出場、547打数173安打23本塁打90打点10盗塁、打率.316。
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