指名順位は実力評価にあらず ドラフト5位ながら、春季キャンプで評価を急上昇させている選手たちがいる。
知名度ではドラ1に劣るかもしれないが、プロは実力の世界。
小谷野栄一(日本ハム)や攝津正(ソフトバンク)、大島洋平(中日)などもこの順位から確固たる地位を築いた。
さて、彼らはこのまま一気に開花するのか。
一軍の晴れ舞台を目指す挑戦の日々に迫った。 井上晴哉[ロッテ・内野手] Seiya INOUE #44
崇徳高-中大-日本生命/25歳
180cm114kg/右投右打
注目独占! 豪打・豪走の“アジャ” FAで新加入の涌井が注目を浴びるかに見えたロッテのキャンプだったが、思わぬ大物新人が「待った」をかけた。NPB日本人選手最重量、114キロの巨漢・井上晴哉。女子プロレスラーのアジャ・コング似の風貌から早々に“アジャ”のニックネームが定着すると、初日からそのパワーをいかんなく発揮。打撃練習で122メートルのバックスクリーン直撃弾を放ち、鮮烈デビューを飾った。
その勢いは実戦でも止まらない。初の紅白戦が行われた2月12日、いきなり四番に抜てきされると、第2打席で左中間へのタイムリー二塁打を放つ。さらに続く第3打席には真ん中低めのストレートを右中間へ流し打ち。大飛球を追った伊志嶺が落球し、ボールが転々とする間に巨体をゆすっての豪快なベースランでまさかのランニングホームラン。思わぬ形で“プロ第1号”を放った。「今度はしっかりサクを越したい」と語った翌日の紅白戦で再び四番に座ると、第2打席で今度はレフトの頭上を大きく越える、打った瞬間に分かる本塁打。結局、紅白戦2試合で合計7打数5安打2本塁打4打点の大当たりだった。
これには
伊東勤監督も「打ちそうな雰囲気を持っているよね。ホームランにしたのは厳しいボールだったけど、よくあそこまで持っていった。真っすぐの後の変化球など、いろいろなボールに対応できるのも相手にはイヤだろうね」と絶賛。この紅白戦は一軍、二軍の振り分けテストを兼ねていたが、即座に一軍帯同が決定した。井上は「練習どおりのバッティングができました。四番の責任を感じていたけど、ランナーをかえすという仕事ができて良かった」と主砲の風格をにじませた。
石垣島で湧き上がった“アジャ・フィーバー”。だが、日本生命でチームメートだった同期の
吉原正平は「社会人では今以上に打っていたときもあった。もっとやってくれると思います」と冷静に分析していた。底知れぬ大器の快進撃は、まだまだ続きそうだ。
▲その堂々たる体格は外国人並み。見るものを引きつけるパワーが魅力だ
祖父江大輔[中日・投手] Daisuke SOBUE #33
愛知高-愛知大-トヨタ自動車/27歳
175cm78kg/右投左打
クセ球で打者を牛耳る“キャラメル王子” 仮契約時に親族が名古屋市内で「日邦製菓」を営んでいることが明らかとなり、主力商品が由来となるその異名は“キャラメル王子”。そして1月の新人合同自主トレでは5キロ走を独走でゴール。それでも26歳の最年長ルーキーは、話題性だけの男ではなかった。
一軍に抜てきされた春季キャンプでは、早くもそのストレートが注目されている。といっても最速152キロという球威ではない。11日に初めてシート打撃に登板すると、球速は140キロ台前半ながら、打者の手元で微妙に変化するストレートが効果を発揮。打者8人を2安打無失点に抑えたのだ。「ボールに・・・
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