特集の最後は、高校野球大好き芸人であるかみじょうたけしさんに締めてもらおう。まずはテッパンの龍谷大平安高・原田英彦監督のネタから。しゃべり出したらもう止まらない! 取材・構成=富田庸 写真=BBM 
かみじょうたけしさん
【エピソード1】龍谷大平安高(京都)ユニフォームの着こなし方

全体のシルエットがこちら。サイズ的にゆったりしているオールドスタイル
原田監督はユニフォームのたたみ方一つにも順番であったりこだわりがある方なんですよね。ユニフォームには「HEIAN」の胸文字以外、何も入らないというのがご自身の誇りなんです。校名が龍谷大平安に変わってからも、袖に小さく「龍谷大学」としか入っていません。のちにご本人からお話を聞いたところ、「あれがギリギリの折り合いでした」と言っていました。
また、今年の京都大会初戦のスコアボードを見ると「龍平安」となっていたんですけど、次の試合からは「龍」が取れて「平安」になっていました。絶対に原田監督が「龍、いりません」と大会本部に言いに行ったのだと、すぐに分かりましたね(笑)。甲子園は入っちゃうんですけど、京都大会では「平安でいかせてください」ということは事前に折り合っているらしいんです。だから、すぐに取れていました。
ユニフォームの話に戻ります。着こなしを本当に大事にされる方で、まずお尻のポケットにタオルを入れてふっくらさせる。ダボッとした着こなしのオールドスタイルを貫いていますね。ストッキングも必ずローカット。原田監督が大学で野球を続けているOBの試合を見に行った際、その選手がダラっとした着こなしをしているのを見つけると、「俺、そんなん教えた覚えないぞ」と緊張感が走るそうです。
7年前に滋賀県に遠征した際、地元の高校の選手がトイレの前で地べたに座っておしゃべりしていました。すると原田監督が「ユニフォーム姿でそんなところに座って、監督は怒らないのか? ユニフォームをどう思っているんだ?」と注意したんです。選手たちは「すみません」と去っていきました。学校など関係はなく、ユニフォーム自体への愛が宇宙一なのでしょう。
また、「HEIAN」をより美しく見せるために、筋トレも欠かしていません。最近では「コロナ禍でジムにも行けなくて、60歳も超えて衰えました」と本人は言うんです。でも、その大胸筋を見たら震え上がりました(笑)。ジムに行っていないのは本当だとしても、確実に自宅で腕立て伏せはやっているはずです。
帽子も、ほかのチームと違って、「H」の縦の棒が太いんです。これにもしっかりとこだわりがあって、しっかりと伝統を継承しています。最近、プリントも増えてきていますけど、平安は今でも刺繍(ししゅう)です。実際に間近で見ると「うわっ」と圧倒されてしまいます。それだけの歴史の重みを、平安ユニフォーム全体で表現しているのでしょう。
【エピソード2】実は母校もこのカラー! エンジ色からにじみ出る「古豪感」
エンジ色って「古豪感」が出ていいんですよね。代表的なところで言うと早稲田がそうですし、「夏将軍」の松山商高(愛媛)。関東で言えば常総学院高(茨城)が純白にエンジを採用しています。白地にエンジ色って本当に雰囲気があるんですよね。関西学院高、豊岡高、そして何より僕の母校である津名高(いずれも兵庫)のチームカラーもそうですし! 津名高の試合では球場に「燃えよエンジの青春」という立派な横断幕が掲げられるんです。
北陸の高校で言えば、高岡商(富山)が母校のユニフォームとそっくりなんです。色味もそうですし、帽子の「T」マークまで一緒。津名高は残念ながら、今まで甲子園には縁がありません。一方の高岡商高は春夏合わせて26回出場の常連校。この夏も甲子園に出てきます。だから僕は甲子園のスタンドの上のほうに陣取り、そこから意識的に目を細めて高岡商高の試合を見るんです。そして、「母校がついに、甲子園に来たんだな」と妄想に浸ります(笑)。
自分にとって原点のユニフォームがエンジ色ですから、やはりこの色のチームが甲子園に出てきたりすると、やっぱり気になりますね。
【エピソード3】家族の反対を押し切った! 阪神・近本光司の決断
さんざんエンジ色への愛着を語ってしまいましたが(笑)、それも人それぞれなんですよね。
阪神・
近本光司選手がいい例です。祖父、父、兄2人全員が津名高野球部なんです。でも近本選手は・・・
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