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プロフェッショナルが見たキャンプの“裏表”

伊原春樹が見たキャンプの“裏表”「チームを活性化させる新指導者。ジョーンズはウワサに違わぬ実力者」

 

開幕まで1カ月を切り、キャンプで実戦も本格化しているが各球団、新コーチの指導ぶりや話題の新外国人、期待の若手の実力は果たしてどうか。キャンプの“裏表”をじっくり取材した伊原春樹氏のリポートをお届けする。

指導者1年目のキャンプに臨んでいる巨人・阿部二軍監督


若手に「考動」を求める阿部二軍監督


 昨季限りで現役を引退した巨人の阿部慎之助は二軍監督として宮崎で若手選手を中心に指導している。掲げているスローガンは「考動」。「こうどう」と読ませる造語だが、選手が考えて動いているように見えない点をまず指導したいという思いからだという。特にミスを犯したときには誰でも反省する。逆に、うまくいった場合、なぜ成功したかということに思いを巡らすことは少ない。しかし、それでは成長につながらないだろう。例えば本塁打を放ったとき、打てた理由を考える。良いときも、悪いときも、常に考えて、動くことを阿部二軍監督は求めているのだ。

 選手を観察中とも言っていたが、「あと一歩の選手が多い」と続けた。「例えば田中俊太。昨季一軍を経験して(レギュラーを)つかみかけてダメで。足りないものを自分で考えないと終わってしまう」と、まさに「考動」を促している。選手に厳しい視線を送る阿部二軍監督。考え方もしっかりしているし、立派な指導者になるのではないかと感じた。

 指導者では日本ハム小笠原道大新ヘッドコーチ兼打撃コーチもチームを変えるべく奮闘していた。14年ぶりに古巣へ復帰。とにかく若手選手にバットを振らせまくっている。「打てないんだから、練習が長くなるのは当たり前」と小笠原コーチは言うが、確かに日本ハムは近年、若手野手が伸び悩んでいる。次世代の主力を作り上げるのは急務で、そのために“量”を求めるのは必要なことだ。

小笠原ヘッド兼打撃コーチの就任で、日本ハムの若手選手のスイング量は確実に増えている。左が筆者


 新戦力ではメジャー通算282本塁打を誇るオリックスアダム・ジョーンズが図抜けた能力を持っていた。初実戦に臨んだ2月18日の紅白戦で紅組の「四番・DH」でスタメン出場すると、遊失、二直に終わり安打は生まれなかったが、両打席とも芯の近くでボールをとらえており、バットコントロールの良さを感じさせた。タイミングの取り方も抜群。しっかりとステイバックして、体が前に行くことがない。軸がブレないので、選球眼の良さも感じられる。日本の投手はメジャー以上に緩急で勝負してくるが、その攻め方にも惑わされることなく対応しそうだ。

オリックス・ジョーンズは日本球界でも結果を残しそうだ


力強さが増したロッテの藤原恭大


 外国人では巨人の育成選手、モタも目立った。2月19日に行われた中日との練習試合では2回一死二塁で迎えた第1打席、岡野祐一郎の変化球をうまくとらえ、右中間へ適時三塁打。三塁へはヘッドスライディングも見せた。4回一死の第2打席でも左前打を放つなど2安打1打点。守備でも2回一死一塁で溝脇隼人の三塁後方ファウルゾーンへの飛球をスライディングキャッチ。アグレッシブなプレーが目についた。

巨人・モタのアグレッシブなプレーはチームに活気を与える


 打撃はスイングが力強く、積極性にプラスして柔軟性が抜群。脚力にも光るものがある。昨年、1年間ファームでじっくりと経験を積んだことがいい方向に作用しているのだろう。プレーにもいい意味での余裕が感じられる。原監督も「ウチにいないタイプ」とあらためて絶賛していたようだが、支配下登録へ大きく前進したのではないか。(※その後、支配下登録された)

 若手の注目株はロッテ藤原恭大だ。「去年よりいいですよ。力をつけてきました」とロッテ・井口資仁監督が目を細めていた。昨年、ファームで鍛えられ、体にキレも増した。もともと力強いスイングをしていたが、さらにレベルアップ。タイミングの取り方もうまく、立ち遅れることがない。肩も強く、送球も悪くない。足もあり一番にはうってつけだが、出塁率を上げるためにはもう少し粘り強さも身につけたい。2月20日の韓国・サムスンとの練習試合では3打席目に2ボール2ストライクと追い込まれてから落ちるボールに簡単に手を出して空振り三振。2ストライク後の打撃を磨いていけばグッとレギュラーは近くなる。

昨年のドラフト1位、ロッテ・藤原恭大は大きく飛躍しそうだ


 ロッテの外野陣は福田秀平荻野貴司マーティン角中勝也らがおり、競争は激しい。藤原が開幕スタメンを勝ち取るには今後の実戦においてバッティングで結果を出していかなければならないが、その可能性は十分にある。

PROFILE
いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している
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