新人年にプロ初登板初先発初勝利を挙げたまでは良かったですが、その後は故障や不調により4シーズンで勝ち星を伸ばせず(5勝)。今季も5度の先発機会を生かせていません。 
【チェックポイント】[2]立ち姿OKバランスがいい[4]ハンズセパレーション早いが……[5]右手首の折れ×

【チェックポイント】[8]手首の角度のせいでヒジが背中側に際限なく入る×
【ポイント】クネクネ
写真はイースタン・リーグでのものです。写真1でセットポジションに入ってから、ゆったりと左足を持ち上げていくのですが、最も左足を高く上げた写真3の形はとても素晴らしいと思います。グラブを頂点に両腕で三角を作り、胸マークまで高く上げた左足の邪魔をしないような工夫がなされています。セットでのスタートですから、写真1からの頭のブレは当然ないわけですが、下半身もどっしりとしていますし、安定して立てていますね。
ただ、ここからが残念です。写真4でハンズセパレーションして以降、どこから指摘していいか……。結論から言うと、安樂選手は体をムチのように柔らかくしならせて投げようとしているよう感じますが、その意識を捨ててしまってはどうでしょうか。極端に言うと、機械のように硬くたっていいんです。
写真4以降の両腕を見てください。クネクネした使い方に目が行きますが、最大の問題は手首の角度です。背屈させず、このままの角度で写真4〜8とステップをしていくので、右ヒジが際限なく背中側に入り、いつまでたっても右腕が上がってきません。今季途中で引退した
上原浩治のように、あるところを境にポンと手首を背屈できればいいのですが、安樂選手の場合はいつまでも内側に折り曲げたまま。ここで問題になるのは右肩への負担です。これだけ背中側に入ったまま右腕を上げていくと、肩の内部でグリグリとぶつかり合い、故障の原因となってしまいます。昨季は右肩痛を発症しているとのことですから、心配ですね。
せっかく写真3で真っすぐにきれいに立っているのに、写真4以降、ねじる意識があるのも改善したほうがいいでしょう。ここまで触れてきた両腕の使い方も、内側にねじるようにして使っています。以前にも解説しましたが、ねじるということは、必ず元に戻らなければならず、それだけ余計な動きが生じますし、元に戻そうと開きが早くなる危険も生まれます。安樂選手の場合、開きはありませんが、ねじる意識はなくしたほうがいいでしょう。
写真6で軸を傾けて上からたたく意識を見せますが、写真7のランディング以降、体(腰)の回転(使い方)は横。しかも低い位置で回転するので、オーバーハンドで投げているとはいえ、潜り込んで打点も低いです。横ならば横でいいのですが、体の使い方を再確認すべきなのではないでしょうか。矯正法としてはクイックモーションで早く投げること。走者を出してクネクネはしていられませんからね。(フォーム解説=
藪恵壹)
PROFILE 安樂智大/あんらく・ともひろ●1996年11月4日生まれ。愛媛県出身。186cm87kg。右投左打。済美高では2年春のセンバツで準優勝。2015年にドラフト1位で
楽天入団。1年目にプロ初登板初先発初勝利を挙げるも、以降プロ4年間で5勝にとどまる。昨季は右肩痛などもあり、4年間で初めて未勝利に。今季の成績は5試合0勝2敗0S0H12奪三振、防御率5.68(8月25日時点)