一昨年(2018年)は未勝利に終わりましたが、昨年は2ケタ勝利には届かなかったものの、25試合に登板して最優秀防御率(2.58)のタイトルを獲得するなど、復活を見せたサウスポーです。9月14日の阪神戦(ナゴヤドーム)で達成したノーヒットノーランは、見事でした。 
【チェックポイント】[5]右ヒザの高さ◎[6]ヒップファースト&ハンズセパレーション◎

【チェックポイント】[12]胸の張り◎[13]右股関節支点に左腕を加速
【ポイント】股関節を支点に加速
日本では数少ない左のパワーピッチャーです。彼の良いところは、何といっても角度があって、力のあるスピンの効いた真っすぐでしょう。実際、写真13のように、リリースポイント(打点)は高いですよね。昨年はこの真っすぐが強かったことで、結果につながっていったと思います。
先にそのリリース直前のフォームから見ていきましょう。写真10のように、上背の割に、ステップ幅は広くありませんが、これには理由があります。ステップした右足に注目してください。写真10で着地して以降、写真11〜13と右足(ヒザ)を突っ張り、右足の股関節を支点にすることで左腕を加速させているのです。写真13で右足が突っ張るので、体重が後ろに残っているようにも見えますが、そうではなく、この間、軸足(左足)は伸びていて、左足から右足へのシフトチェンジも十分といえます。その証拠に、フィニッシュの写真15では完全に右足に体重が乗り切っています。
一見すると立ち投げのように見えますが、写真13ではリリースポイントが右足よりもかなり前(キャッチャー方向)に出ていますし、写真15の上半身の倒しも十分(腕もしっかりと振られています)。下半身の使い方などは特に外国人投手のような投げ方ですが、これが大野選手には合っているのでしょう。打点も高く、おかげで彼の特徴でもあるボールに角度が生まれます。ツーシームやフォークのコンビネーションも生きるわけです。これにカーショー(ドジャース)のような、タテに割れるカーブがあれば、怖いものなしですね。ステップからフィニッシュにかけては、上半身と下半身の連動が絶妙なタイミングで行われており、これはほかの人にはマネできない動きなのではないでしょうか。
前半部分を見てみると、セットから一度は浅めに足を上げますが(写真2)、写真3〜4とグラブを大きく上げてヒザが通る道を作り、写真5で胸の位置まで右ヒザを上げている(二段目)のも良いですし、何より写真6でお尻先行で出ていく形も最高だと思います。ハンズセパレーションも早いですね。
やや、左腕の上りがやや遅く、もう少し早めに上げてきてもよいとは思いますが、ギリギリのラインでタイミングが合っているので、改善できれば、といったところでしょうか。写真12の胸の張りも、その逆で写真14のリブダウンも良いですし、最優秀防御率のタイトルもうなずけるフォームだと思います。(フォーム解説=
藪恵壹)
PROFILE 大野雄大/おおの・ゆうだい●1988年9月26日生まれ。京都府出身。183cm83kg。左投左打。京都外大西高から佛教大を経て2011年にドラフト1位で
中日入団。3年目から3年連続2ケタ勝利を挙げたドラゴンズ左のエース。昨季は史上81人目のノーヒットノーランを達成し、秋には侍ジャパンに選出されプレミア12で世界一に貢献した。2019年の成績は25試合9勝8敗0S0H156奪三振、防御率2.58