2勝3敗と土俵際に追い込まれて迎えた11月2日の日本シリーズ第6戦(Kスタ宮城)のこと。相手の先発はレギュラーシーズンから無敗を誇る
楽天・田中。まさに窮地と言える状況で、底力を見せた。
前日の練習日。原監督は円陣の中心で「このチームは追い込まれてからが強い」とナインに語りかけた。どんな状況でも今のチームは慌てない。選手個々が自らの役割を全うし、相手の絶対的エースに向かっていった。0対2の5回一死二塁でロペスが「絶対に打つという強い気持ちだった」と同点の2ランを放ち、一塁を回って大きくほえる。この一振りで空気が一変。さらに攻め立て、二死一、三塁で三番に起用された高橋由の中前打で勝ち越した。ベテランは「開き直っていった」と冷静に振り返る。6回にも犠打を絡めて好機を広げ、ロペスの三ゴロの間に4点目を奪った。
打線が4点を奪うと、このリードを
菅野智之が守る。第2戦では田中に投げ負けた新人は「周りは田中投手が勝つと思っている。それを覆す投球がしたい」と雪辱を誓っていた。2回に味方の失策もあって2点を失うが、3、4回は三者凡退に抑えるなどその後は堂々の投球を見せる。7回2失点で降板し、山口、
マシソンと鉄壁の救援陣に後を託した。シーズン中から連敗が1度もなかった右腕が、抜群の安定感で田中に土をつけた。「重圧はあったが、そういうものも力に変えてマウンドに上がった。ここで勝ったら絶対にヒーローだと自分に言い聞かせた」と強心臓ぶりを見せた。
惜しくも第7戦に敗れて2年連続日本一は逃したが、球史に残る熱戦を演じたと言えるだろう。