
すでに欠かせぬ存在となりつつある
速射砲のように浴びせられる打球に、
鈴木大地が食らいついた。久米島キャンプ第2クール初日の2月6日。鈴木大がキャンプでは自身初の特守で、
三木肇監督から直々にノックを受けた。
一、三塁の守備位置で合計182球。イレギュラーなバウンドにも「試合なら、ありえる」と機敏に反応した。柔らかいグラブさばきからのスローイング。流れるような動きだった。
一緒に特守に臨んだのはドラフト2位の高卒新人・
黒川史陽。黒川はスローイングを免除されていたため、鈴木大には休む暇もなく打球が浴びせられた。それでも、後輩への思いやりは終始忘れなかった。
ルーキーが苦悶の表情を浮かべると「頑張れクロ」と励まし続けた。約1時間、ともに汗を流した黒川は「
ロッテ時代からあこがれていた方。一緒にノックを受けることができて、本当にうれしかった」と感謝した。
どんなときでも明るく声を出し、チームを引っ張る。こういったタイプの選手は、現在の
楽天には多くない。実は黒川が1人で特守を行うと聞き、自ら志願したという。若返りを図ろうとするチームにとって、鈴木大は欠かせない存在だ。
三木監督も「大地はゲームを想定し、工夫しながら捕っていた。テーマを持ってやっているというのが(ノックを)打っていて分かるよね」と絶賛した。まさに生きた教材と呼べるマルチプレーヤーは、7年ぶりのリーグ優勝を狙うチームに新たな化学反応をもたらしてくれそうだ。
写真=BBM