
捕手として投手から信頼を得るには、リードだけではない。ロッテ・田村龍弘は“守備力”も光る
昨季、17勝8敗と圧倒した
ソフトバンクに対して、今季の開幕カードでも2勝1敗と勝ち越し。光ったのは、捕手の田村龍弘の守備力だ。3試合で5失点と投手陣を好リードした上で、2戦目は
ハーマンのワンバウンド投球を懸命に止め、正捕手の意地を見せつけた。
6月20日の開幕2戦目は、先発した
柿沼友哉に代わり、1対1の7回からマスクをかぶった。二死三塁でハーマンが投じた2球目のスライダーがソフトバンク・
柳田悠岐の足元へ。田村は飛ぶようにして大きく右へ動き、弾んだボールをミットに収めた。後逸すれば勝ち越しを許す場面でチームを救った。
6月3日に腰を痛めて、一軍に戻ったのは開幕直前の14日だった。「腰もそうだけど、いろいろなところ。昨年から完治していない部分がある」と語るように、5年連続で100試合以上に出場した蓄積疲労はある。それでも「試合に出る以上は、痛いと言っていられない」と退路を断ち、戦いの場に立っている。
田村の不在の間、ドラフト2位ルーキーの
佐藤都志也が2試合連続本塁打を記録するなど、打撃で猛アピールした。どちらが開幕マスクをかぶるのか注目されたが、
井口資仁監督が選んだのは経験豊富な田村だった。
開幕投手の
石川歩は6回を2安打無失点と好投。緩急自在の投球を見せたエースは「田村が本当にいいリードをしてくれた」と頭を下げた。
パ・リーグは移動による新型コロナウイルスの感染リスクを減らすために、8月下旬までの2カ月間、同一カード6連戦を行う。そこでカギを握るのは捕手のリードになる。背番号22は「その日、その日を大切にするのもあるが、次の日の投手が誰かということを考えた配球も必要」と異例の戦いを見据える。
写真=BBM