
出場試合数、安打数、本塁打数など、多くの部門でキャリアハイの成績を残している巨人の松原聖弥
無名だった男が、プロの世界で這い上がった。松原聖弥は2016年に行われた育成ドラフト5位指名で翌17年に巨人入り。「エリート」とは、かけ離れた経歴を積んできた。
「野球人生で、悔しい期間が長かったので、見返してやろうという気持ちが糧になっています」
生まれ育った大阪から宮城の強豪・仙台育英高に進んだが、最上級生となった3年夏も1学年下の
上林誠知(現
ソフトバンク)らが甲子園で活躍する姿をアルプススタンドから太鼓係として応援した。
卒業後に進んだ首都大学リーグ2部の明星大で地道に成長。当時も無名ではあったが、育成でプロの世界へ。
吉川尚輝がドラフト1位だった同年の入団選手15人のうち、12番目の指名だったが、ここから頭角を現した。18年に支配下登録、昨季にブレークを果たし、今では連日、スタメンに名を連ねるまでに大出世を果たした。
原辰徳監督から「天才的に野球をやる」と評された野性味あふれるスタイルと、俊足と強肩が持ち味だ。今季はFAで
DeNAから
梶谷隆幸が加入するなど激化した外野手争いを勝ち抜き、9月15日時点で105試合に出場(76合に先発)し、打率.270、9本塁打、12盗塁。広い守備範囲も随所で光っている。
「打てなかったら(二軍に)落とされる、というのは常に思っています」。ようやくつかんだ出番を手離すわけにはいかない。
サクセスストーリーは、まだ始まったばかりだ。
写真=BBM