
今季はここまで5勝も、9月、10月と状態を上げてきている巨人の菅野智之
重圧の大きさは、背負った者だけが知る。菅野智之の背中に刻まれたエース番号「18」の伝統は、名投手たちが受け継いできた。
1935年の
スタルヒンに始まり、
中尾碩志がエース番号に育て、
藤田元司、
堀内恒夫、
桑田真澄、
杉内俊哉ら歴代9人。86年の入団から21年間背負った桑田の退団後は、2007年から5年間も空き番になったこともある。まさに、背負うにふさわしい投手にしか与えられない“聖域”といえる。
菅野は2年連続沢村賞に輝いた18年のオフ、同年限りで引退した杉内から受け継ぐ形で、入団から6年間背負った背番号「19」から変更した。きっかけは
原辰徳監督が「来季から18番をしっかり背負った状態で戦ってほしい」と提案したことだった。菅野は「いいんでしょうか?」と謙虚に応じたが、「智之しかいない」と念を押され、「分かりました」と伝統の背番号を背負う覚悟を決めたという。
昨季も開幕13連勝を達成するなど、最多勝、勝率第一位の2冠に輝くとともに、2度目のリーグMVPを受賞。エースナンバーに恥じない活躍を見せた。だが、今季は脚や右ヒジのコンディション不良のために前半戦に4度の離脱。後半は本来の圧倒的な投球とはいえないものの、先発ローテーションを守っている。
「今までチームに迷惑をかけてきた分、ここからフル回転で取り返していきたい」と後半戦を前に語った決意を胸に、Aクラスを死守するため、そしてポストシーズンを勝ち上がるため、エースの仕事を見せてくれるはずだ。
写真=BBM