
内外野問わず“パーフェクト”にこなす牧原大の存在は大きい
何でもできる男として、いまやチームに欠かせない存在だ。
牧原大成は左太ももの負傷で戦列を離れていた4月28日から5月26日の期間を除けば、ここまで「全試合先発出場中」だ。昨季はレギュラー格として自己最多の120試合に出場しながら、規定打席にわずか2打席足りなかった。その悔しさを胸に戦う今季、リハビリ期間も自身の希望で当初の予定から大幅に短縮し、一軍の舞台に戻ってきた。
今季は8月3日時点で二塁手として38試合、中堅手として32試合に先発。さらに、試合中の守備位置変更で三塁、遊撃も守っており、その万能ぶりは際立っている。シーズン前には「中堅一本」での勝負を誓っていたが、チーム事情に柔軟に対応できる能力はオンリーワンだ。
ただ単に器用に守備をこなしているわけではない。ルーティンは日々のアーリーワークにある。「複数ポジション守るにあたっては、練習はしないといけない。人と同じ練習量ではダメなんで。ゲームに入っていく中で、自分の守備に安心感を持たせるためにも、そういったところを大事にしていきたい」。ユーティリティープレーヤーとしてのプライドだ。
あくまで目標は二塁手でのゴールデン・グラブ賞の獲得だが、何よりも大事にするのは『フォア・ザ・チーム』の精神。「外野で出ることもチームに必要とされていることだと思う。自分の中でぐっとこらえて、またセカンドができるときまで頑張っておきたい」。大逆転でのリーグ優勝に向け、“最強の便利屋”が躍動する。
写真=湯浅芳昭