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伊原春樹コラム

伊原春樹コラム「新人離れしたマウンド度胸、制球力、奪三振能力が魅力。エースの風格が漂う伊藤大海の投球」

 

負け投手となったが4月7日のソフトバンク戦[札幌ドーム]で7回3失点と好投した伊藤[写真=榎本郁也]


 プロ野球もシーズンが始まって約3週間。各球団、対戦がひと回りしたが、今季は例年以上に新人選手の活躍が目立つ。4月12日現在(以下同)、セ・リーグの首位・阪神では話題のドラフト1位・佐藤輝明が3本塁打。2位の左腕・伊藤将司は7日の巨人戦(甲子園)でプロ初勝利。6位の中野拓夢も11日のDeNA戦(横浜)で猛打賞をマークした。広島では1位・栗林良吏がリーグ1位の5セーブ。3位の大道温貴も勝利の方程式入りして5試合連続無失点だ。DeNA2位・牧秀悟も力強い打撃を見せ、打撃3部門で上位に。パ・リーグでは楽天1位の早川隆久が前評判に違わぬ投球を披露。未勝利だがロッテ1位の鈴木昭汰もレベルが高い。西武4位の若林楽人のスピード感も目を見張るものがある。

 なかでも、私のイチオシは日本ハム1位の伊藤大海だ。駒大苫小牧高から駒大に進学も1年秋に退学し、翌春に苫小牧駒大に入学。規定により1年間は試合に出場できなかったが、この空白期間を生かしてレベルアップを図ったという。メキメキと頭角を現して侍ジャパン大学代表にも選出され、日本ハムが2004年に北海道に移転してから初の道産子ドラフト1位として今年入団した。

 3月31日、本拠地・札幌ドームの西武戦でプロ初先発。5回、呉念庭に一発を浴びたが、6回4安打8奪三振1失点と上々デビューを飾った。試合は1対1の引き分けで勝敗はつかなかったが、高いゲームメーク能力を披露。さらに、続く4月7日のソフトバンク戦(同)でも新人らしからぬ投球を見せた。

 圧巻だったのが4回裏に大田泰示の2ランで2対1と逆転した直後の5回表だ。先頭の栗原陵矢に四球を与えるも続くデスパイネは三ゴロ。ゲッツーかと思いきや、三塁の野村佑希が二塁悪送球。一転、無死一、三塁と大ピンチに陥ってしまった。普通の新人ならここから一気に崩れていってもおかしくない。しかし、伊藤は違った。中村晃は0─2から外角へのスライダーで見逃し三振。松田宣浩も1─2から外角直球で見逃し三振を奪う。最後は甲斐拓也を2─2から外角低めのスライダーで空振り三振に斬って取って、ピンチを脱した。

 直球は150kキロ前後を計時し、キレのいいスライダー、カーブ、スプリットを投じるが、特筆すべきはすべての球種のコントロールが長けていることだ。この3三振も最後は見事に外角へ制球されていた。さらに抜群のマウンド度胸だろう。ピンチでも慌てることがない。堂々としたマウンドでの立ち居振る舞いは、すでにエースの風格を漂わせている。

 7回表、一死一、三塁から中村を投ゴロに仕留め、併殺を狙って二塁へ送球も三塁側にわずかにそれて遊撃・中島卓也が落球。同点となり、続く松田に適時二塁打を打たれて7回3失点で負け投手になったが、あの送球は中島が捕らなければいけない。新人が頑張っているんだから、バックが助けないでどうする。ここまで2試合に投げて0勝1敗、防御率2.08。奪三振は19を数え、奪三振率は13.15と高い数字を示しているのも光る。今後の投球が大いに楽しみだ。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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