週刊ベースボールONLINE

伊原春樹コラム

借金5の5位に沈む原ジャイアンツ。セ唯一の防御率4点台巨人リリーフ陣にひそむ問題点

 

チームに浮上の気配が見えず、苦難の表情を浮かべる原監督[写真=榎本郁也]


 巨人がおかしい。V奪回を誓った今季、開幕当初は好調だった。4月28日時点で貯金11の首位。しかし、そこから下降線を描き、7月24日現在(以下同)、借金5の5位にまで沈んでしまった。5月は11勝14敗、6月は9勝13敗、そして7月は5勝12敗1分けの大失速だ。低迷の要因の一つは投手陣の不調だろう。チーム防御率が6月は4.99、7月が5.19。5点を超える防御率では、なかなか勝利を得ることは難しい。

 投手陣の中でも特にリリーフ陣が安定しない。新型コロナウイルス感染で離脱してしまったが、クローザーには開幕からドラフト1位ルーキーの大勢が収まった。しかし、それ以外の勝利の方程式が確立しない。ここまでのセ・リーグ6球団のリリーフ起用投手人数と同防御率は以下のとおりだ。

 DeNA 16人 防御率3.03
 阪神 16人 防御率2.43
 中日 16人 防御率3.26
 ヤクルト 18人 防御率3.08
 広島 19人 防御率3.54
 巨人 24人 防御率4.25

 まさに巨人は取っ替え引っ替え状態。防御率も唯一の4点台で崩壊していると言っていいだろう。見ていて感じるのは、巨人の首脳陣が投手にプレッシャーをかけ過ぎているということだ。抑えなければ、すぐに二軍行き。だからか、ピンチでも思い切って大胆に攻めればいいのに力みが指先に伝わり、キャッチャーが構えたところから少し外れる。悪循環に陥り、投手が自分で自分を追い込んでしまうような状態だ。

 7月17日の広島戦(東京ドーム)では4点差をひっくり返され、5対10で5連敗。同一カード3試合連続で満塁本塁打を浴びる屈辱を味わうなど、2試合連続2ケタ失点と投手陣は打たれまくった。試合後に原辰徳監督は「私とコーチ陣の指導が悪い」とコメントしていたが、それよりも采配が悪いと思ってしまう。

 一軍への壁が低くなっているのも問題だ。リリーフに多くの投手を起用しているが、二軍でそんなに結果を残していない投手も一軍で投げている。昔はそんなことはなかった。私は1976、77年に選手として巨人に在籍。主に二軍でプレーしていたが、若手だった西本聖定岡正二が「ファームで10勝を挙げなければ一軍には上がれない」と懸命に腕を振っていたのが思い出される。本来、それほど一軍は選ばれし者がマウンドに立つ場所でなければならない。

 巨人は打線で足を使える選手が少ないのも苦戦している要因だろう。ラインアップに名を連ねている選手で脚力に優れているのは吉川尚輝くらいだ。打つことを待っているだけでは得点パターンが狭まり、局面を打開することなどできない。もったいない存在は松原聖弥だ。昨年、打率.274、12本塁打、15盗塁をマーク。今季、オープン戦で打撃の状態が上がらなかったとはいえ、開幕から我慢して起用していれば上向いたはずだ。そこで、吉川と松原の一、二番コンビを確立していれば、攻撃の幅は広がっただろう。

 オールスターブレーク直前には新型コロナ禍に見舞われた巨人。チームの立て直しを図る時間は少ない。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

伊原春樹の野球の真髄

座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング