2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 センターグラビアは『2000万円の高校生』
今回は『1959年1月7日号』。創刊第39号で定価30円。号表示では58年最後の号になる。
中カラー見開きは『さようなら1958年』。
巨人・
長嶋茂雄、
藤田元司の私服姿だ。
本文巻頭は『特集 1958年プロ野球10大ニュース秘話~長嶋の巨人入りから田宮問題まで』。取り扱っていたニュースは以下だ。それぞれ関係者に語らせているのがミソだ。
「第1話報われなかった田宮の誠意」(東映・
松木謙治郎コーチ)
若手時代の恩師・松木氏が、移籍の自由を有するA級十年選手となり球団と大もめの末に退団が決まった
阪神・
田宮謙次郎の擁護論。
「第2話長嶋入団までの二十カ月」(品川主計前巨人社長)
品川前社長による長嶋争奪戦の真相。南海とはかなり激しかったようだ。
「第3話川上選手最後の抵抗」(野球評論家・
南村侑広)
かつてのチームメートが川上引退に寄せて。
「第4話千葉、巨人を去る夜の苦悩」(野球評論家・
楠安夫)
巨人二軍監督から近鉄監督となった
千葉茂の心情。
「第5話三原問題劇中劇」(デイリー・スポーツ・都築洋)
西鉄・
三原脩監督の大洋行きを知りながら発表できなかった記者の裏話。
「第6話逆転への力となった殊勲賞」(西鉄マネジャー・藤本哲男)
ペナントレース大逆転の要因となった殊勲賞について。
「第7話誰もしらなかった品川引退」(映画「巨人軍物語」監督・岡田弘)
部外者ながら品川主計巨人社長退陣を知っていた映画監督の話。
「第8話激昂した山本(八)の胸の内(東映・
筒井敬三コーチ)
東映・
山本八郎の審判暴行事件について。
「第9話“水原殴打事件”と十万円」(巨人・市川岸郎マネジャー)
甲子園で乱入した観客が巨人・
水原円裕監督を殴打した事件について。「十万円」については次のような裏話がある。一部抜粋する。
この日、巨人軍は久々の遠征が終わるので、試合直後に全員で帰京するため11時45分大阪発の急行貨物列車の最後部に、二等寝台車2台を連結させることになっていた。
いわば「球団特別寝台車」は巨人にとっても初の試みだったが、事件で試合が長引いて間に合わず、空のまま東京に走らせることになった。その損失が三十人分の旅費と寝台代金約十万円だったわけだ。
市川マネは「この列車をめぐって交通公社との間で、話し合いをつづけている次第だ。まったく試合に負けるし、汽車に乗り遅れるし、俗にいう、踏んだり蹴ったりだった。一人の暴漢は、とんでもないところまで被害を及ぼしていたのである」と嘆いている。
「第10話金田快投の底にあるもの」(国鉄・
宇野光雄監督)
キャリアハイの活躍をした国鉄・
金田正一について。
どれも興味深い。蛇足だが、「10大ニュース」は「重大ニュース」からだと思うが、元祖をご存じの方がいたらコメント欄にお願いします。
センターグラビアでは『2000万円の高校生』のタイトルで徳島商高から
中日入りした
板東英二の練習風景。もめている記事があって心配したが、無事入団のようである。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM