
実戦デビューを果たした吉田輝星。一歩ずつ前に歩みを進めている
日本ハム・吉田輝星の評価は、いま真っ二つに分かれている。
3月12日の
楽天との教育リーグで初の対外試合デビューに続いて、19日も同じ鎌ケ谷で行われたイースタンリーグの
ヤクルト戦にも登板。2回を投げて2安打3四球1失点と苦しみ、本人も「自己評価はマイナス。課題がたくさん見つかりました」と締めくくった。
現在の課題は変化球の制球力とピッチングフォーム。この日も「ストレート以外投げるボールがなかった」と変化球が定まらず、またフォームも時折バランスを崩し、すっぽ抜ける場面も見られた。このままでは一軍では厳しいという声が多く聞かれた。その一方で、12日の試合でも20球中18球を投じたストレートは魅力十分。スピードガン以上に打者の手元で伸び上がる軌道は吉田ならではのもの。実際に対戦したバッターは「全盛期の
武田久さん(現日本通運)みたいなボール。あまり見たことがない軌道」と評価した。
今後もイースタンリーグで登板を重ねながらの調整になるが、19日の登板も電撃視察した
栗山英樹監督は周囲の評価などはどこ吹く風で、どんなに粗削りでも未完成のままでも、早い段階での一軍起用も示唆している。その理由がまた指揮官らしい。
「逆に時間をかけてしまうと輝きを失ってしまうことがある。とにかくあの夏の甲子園の躍動感がまだ体の中にあるうちに一度でも、二度でも投げさせたい。そこでプロの壁にぶつかればまた成長の糧にもなるし、逆にうまくいけば自分の自信にしていけばいいんだから」
吉田輝星にとって何が一番プラスになり、これからの長いプロ野球人生に必要なことなのか。そこにすべての思考が向いている。では、気になる一軍登板のXデーはいつごろになりそうなのか?
5月か6月上頃の交流戦あたりと予想される。かつて同じ高卒ルーキーだった
ダルビッシュ有もまずはイースタンリーグで登板を重ね、2005年6月15日の
広島戦(札幌ドーム)でデビュー、投手・
大谷翔平も同じく交流戦の2013年5月23日のヤクルト戦(札幌ドーム)だった。受け継がれるスターの系譜。伸びやかに育まれる18歳を一軍の舞台で見られる日は、きっとそう遠い日ではない。
写真=BBM