
6月16日のヤクルト戦(メットライフ)で2勝目を挙げた松本
まだ物足りない。6月16日のヤクルト戦(メットライフ)で約1カ月ぶりの2勝目を手にした
西武のドラフト1位右腕・
松本航。チーム3カードぶりの勝ち越しに貢献したが、「先発としてもっと長いイングを投げないといけない」と悔しさがあふれ出た。過去5試合の先発登板でイニング数は5回、5回2/3、5回、5回、5回2/3と“6回の壁”を破ることができなかった。16日の登板も113球を擁したが、早いカウントで勝負できず、球数がかさんでしまうことも原因だろう。
勝利を挙げられたからよしとしよう、とならないところがいい。大学出の即戦力と言えども、まだ1年目だ。徐々に成長しいていけば問題ない。先を見据える能力もある。例えば、これから体力を消耗する夏場が訪れるが、チームの栄養士にも積極的にアドバイスを求めているという。
「例えばどんなタイミングで、どんな食事を取ればいいのか。それに僕は結構、体がつりやすいので、どういった対処法を取ればいいのかも学ぶようにしています」
プロで羽ばたくためにどん欲に。好きな言葉は「飛翔」だというが、そこにはこんな意味も込められている。
「大学に進学するときに、中学の先生からいただいた言葉なんです。その先生は飛ぶということで鳥にたとえて、こう言ってくれました。鳥は小さい体でエサを取る知恵だったり、見つける目だったり、飛ぶための強靭な体力だったり、人間にはないすごい力が小さな体に詰まっている。だから、そういう能力を身につけて、高く羽ばたけるように頑張れ、と」
『虎に翼』ということわざがある。『鬼に金棒』と同じく、強者にさらに力が加わって最強になるということだが、松本はさながら『獅子に翼』か。そのためにも、飛翔し続けてもらいたい。
文=小林光男 写真=大泉謙也