デラロサは日本向きでは

入団会見のデラロサ。背番号は97
交流戦が終わり、セ・パのリーグ戦が再開。早いもので、もうシーズンの半分近くが終わった。
このくらいの時期になると、優勝を狙うチームの首脳陣は勝ちだけじゃなく、負け数を考えるようになる。
いま
巨人が71試合で40勝30敗1分(7月1日現在)。今年のセは混戦だから、おそらく優勝ラインは下がる。60敗前後がデッドラインになるだろう。
原辰徳監督の中には、「カード勝ち越し」「連敗しない」という中短期目標に加え、あと25~30敗をどう負けるかも当然あると思う。
負けを計算するというのは、逆に「勝てる試合を必ず勝つ」ということでもある。
これは信頼できる“勝てる”先発を立てた試合、序盤にリードした試合は、必ずものにするということだ。
そのために大事なのは、やはり7回以降のリリーフ陣。打線は水物だから、あくまでプラスアルファと考えるべきだし、今季の巨人は、打線の整備は、かなり高いレベルでできている。
今回、ダイヤモンドバックスのデラロサ、
日本ハムとのトレードで左腕の
藤岡貴裕と右腕の
鍵谷陽平を獲ったのも、その一環だ。
この時期のトレードは、来季以降というより、残り半分で自分たちがやろうとしている戦いためだからね。
デラロサは
クックの後釜になるということだろう。クックは、今頃になってファームでクイックをやっていると聞く。
新聞の見出しで「クック、クイック、グッド」とあったが、開幕から3カ月も過ぎてやっとか。完全にノーグッドだ。
日本の細かい野球では、クイックをしない投手は走られ放題になりかねない。そうなると四球を出しただけで走られ、ヒットなしで走者二塁がつくられる可能性がある。投手も一塁走者が気になって、打者に集中できなくなる。
なまじ球威に自信がある外国人投手ほど、本気になって覚えない傾向がある。クックは、明らかに日本の野球をなめていたんだろう。
いまはユーチューブですぐ映像が見られる時代だが、デラロサの投げ方は悪くない。少し投げた後に一塁側に体が流れるが、上体頼みではなく、体重移動もできているから、メジャーに比べれば軟らかい日本のマウンドも、そう苦にしないだろう。
150キロ台がコンスタントに出るというし、実は「故障してました」ということでもなければ、それなりの結果を出すと思う。
クイックや日本流の練習についても、レッドソックス時代に
上原浩治に聞いていたという。これから球宴明けまでしっかり準備すれば間に合うはずだ。メジャーで14勝を挙げたこともあるし、来季以降は先発も視野に入っているらしい。
映像では、左肩が早めに開くことが気になった。こういうタイプは疲れてくると開きが大きくなって、打者からすればボールが見えやすくなる。
ただ、これも直すのは、そう難しいことではない。クックに懲りて、しっかり巨人のコーチが修正してほしいな。
写真=BBM