
現役引退を発表した山崎
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2013年7月29日だ。
キャリア27年目、44歳のベテランが大きな決断を下した。この日、
中日の
山崎武司が名古屋市内で記者会見を開き、「報道がありましたが、今季限りで引退することを決めました」と自らの口からファンに報告した。
このシーズンは主に代打として39試合に出場して打率.255、本塁打はゼロだった。5月17日の
楽天戦(ナゴヤドーム)ではサヨナラ打を放ったが、その後も調子は上向かないままで同27日には出場選手登録を抹消されていた。
1987年、中日で捕手としてプロ野球人生をスタートさせたものの、そこが自分の居場所だとは思えなかった。そんな葛藤を抱えたまま時間を過ごし、ようやくブレークの時を迎えたのはちょうど10年目となる96年。本塁打王に輝いた。
「でも、何で打てるのかも分からなかった。当時は行き当たりばったりで野球をやっていましたね」
義理人情に厚く、曲がったことが大嫌い。相手が監督であろうと、納得できなければ構わず“喧嘩”。中日から
オリックスへ移籍すると、そこでも衝突した末に戦力外通告を受けてしまう。そこで声を掛けてくれたのが、新たに誕生したばかりの楽天。ここで第二の野球人生がスタートした。
東北の地で出会い会いに恵まれた。
田尾安志監督には打撃フォームを修正してもらい、
野村克也監督からは配球や打撃に関する考え方を吸収して07年、43本塁打を放ち、再びタイトルを獲得した。
「僕は遅咲きだから18年くらいかな、本当に野球をやっていた期間は」
野球人生を振り返り、山崎はそう言って豪快に笑った。
写真=BBM