キレのある対応力

東洋大・福原マネジャーは東都一部復帰の功労者。今春から指揮する井上監督[左]を支えた[写真=矢野寿明]
強いチームには、有能なマネジャーがいる。大学球界における「あるある」だ。それは、なぜか。部運営の中核を担う裏方が機能しなければ、チームは崩壊するからだ。
東都大学リーグ一部二部入れ替え戦。東洋大(二部優勝校)が6月24日、駒大(一部6位校)に連勝して2021年春以来の一部復帰を決めた。ドラフト上位候補に挙がる155キロ左腕・
細野晴希(4年・東亜学園高)を擁し、今秋は「日本一」を目指すカテゴリーに戻ってくる。
献身的にチームを支えたのが、福原大喜マネジャー(4年・九州学院高)だ。高校時代から強豪校の裏方として身を粉にしてきた。チーム勝利のため、最大限のサポート。常に先回りをして、準備を進める縁の下の力持ちだ。
とにかく、動きが早い。さまざまな要望に対して迅速に応じる、キャパシティがある。最上級生となる1年前から、キレのある対応力は際立っていた。4年生となった今年はさらに、グレードアップ。今春から母校を指揮する井上大監督を支える秘書役としても、手腕を発揮してきた。一部復帰を決めた24日は、ナインとともに歓喜の輪に入った。
二部優勝した際、福原マネジャーに入れ替え戦へ向けて聞くと「これからもチームのために頑張ります」と決意を述べた。この一言に、生きざまのすべてが凝縮されている。決して表に出ることはないが、一部復帰の陰の立役者、功労者と言っていい。
この秋は、東都一部リーグ優勝を遂げ、明治神宮大会を制し「秋日本一」のタイトルを獲得するのが目標だ。一部になれば、さらに注目度は増し、10月には細野のドラフトも控え、取材窓口として、福原マネジャーの仕事は増える。多忙な日々も、疲れ一つ見せず、すべてを受け入れるのが、マネジャーとしての器。人のために汗をかく習慣が染み付いている。だからこそ、大学野球のマネジャーは「社会人の即戦力」と言われる。これは「あるある」ではなく、真実なのである。
文=岡本朋祐