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川口和久コラム「無観客でもなぜかうるさい巨人の外野席?」

 

1安打完封勝利を挙げた菅野


首都圏開催の不公平


 セ・リーグは、これで全チームと当たったことになるが、1つ気になったのが、今の順位。移動を制限するため首都圏開催でスタートしたが、見事に巨人DeNAヤクルトと首都圏のチームが上位に並んだ。特に最下位の阪神は、唯一、まだ本拠地ゲームがない球団だしね。

 阪神も次は5カード連続甲子園だから「行って来い」ではあるのだが、ボーアが最初の巨人戦で、はっきり言えばつぶされ、そこから何をやっても裏目という形になった。外にも飲みに行けないし、家族にも会えないで、ストレスばかりたまったはずだ。首都圏開催が阪神のスタートダッシュの邪魔をし、負のスパイラルを生み出したことは間違いない。

 甲子園に戻って雰囲気が変わるならいいが、もし、このままどんよりした感じが続くなら、1つ提案しておこう。過去を見ても、停滞したチームを変えるのはフレッシュな戦力だ。新外国人、新人、二軍から上がったばかりの選手。彼らの活躍を弾みに一気にチーム全体がジャンプする。

 俺は今の阪神なら藤浪晋太郎だと思う。だって、もったいないでしょ。先発して試合の終盤まで150キロ台の真っすぐをコンスタントに出せる投手なんて球界を見渡しても、なかなかいないよ。もうコロナも遅刻もいい。藤浪自身も、あとがないのは分かっている。刺激剤として試してみる価値はあると思うけどね。

 全体にホームランが多いのも今シーズンの特徴だ。打者がよく振れているというより、元も子もない話だが、ボールが飛んでいる。こすったような当たりが簡単にスタンドまで届いている。特にセは、東京ドーム、横浜、神宮とホームランが出やすい球場だったこともあり、投手が慎重になり、コースを狙い過ぎて四球を出し、走者をためられてドンと一発を打たれるパターンが多かった。

 投手出身として、知らないうちに飛ぶボールになっているときほど腹が立つことはない。お客さんがいくら喜んでも、こっちの給料は下がるだけだしね。

打線が落ちたときに……


 走り出している巨人だが、俺の順位予想では投手が足りないだろうと思い、少し下に置いた。それが6月の終わりから戸郷翔征桜井俊貴と若い投手で勝ったのは大きい。特に桜井は、とんでもないいいピッチングをした。

 若い投手が勝つときは、必ず打線とうまくコラボしている。好調な打線のバックアップがあり、その中で若い先発投手が伸び伸び投げているのが、今の巨人だ。ただ、打線は必ず波がある。打てなくなったとき、今度は投手がどう支えるのか。そのためには先発も大事だけど、今、壊滅的な中継ぎをどう立て直すかだろうね。

 原辰徳監督にとっては心強いのは、菅野智之のモデルチェンジ成功だろう。上半身をひねってから投げる新フォームで、腰の回転が横回転にタテのループが入ったというのは以前書いたが、3日の試合(ナゴヤドーム)の1安打完封も、中日打線が完全に戸惑っていた。

 菅野の悪いときは、球がシュート回転して早めに変化するからストライク、ボールの見極めがしやすい。でも、あの日の中日打線は、そういう際どいボール球に手を出していたし、変化球も面白いようにボール球を振っていた。打者からしたら、それだけ曲がりが打者の体の近くだったということでもある。昨年までとは、まったく違う投手みたいだったと思うよ。以前も書いたが、今の菅野に怖いのは故障だけ。万全なら、そうそう負けない。

 そう言えば、原監督の監督勝利数が長嶋茂雄さんに並んだという。おめでとうございます、と言いたいけど、あまり、おめでとうばかりじゃないかな。賭けゴルフで週刊誌に随分たたかれている。昔からだけど、巨人は強くなると必ずこういうゴシップが出てきて外野がうるさくなるんだよね。あのときもそうだったし……(以後、ピー音で隠しておいて)。

 でも、無観客なのに、うるさい外野席というのも面白いね。あ、原監督、ジョークだから怒らないでくださいよ。

PROFILE
川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。
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広島、巨人で活躍した川口和久氏が独自の視点でプロ野球に斬り込む連載コラム。

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