得点圏打率.418。言葉にせずとも、その数字からの熱き思いが伝わる。寡黙な守備の天才が、反撃のキーマンになる。 文=江尾卓也(スポーツニッポン新聞社) 
写真=松村真行
「頑張って必死につなぎました」
5月21日、
中日戦(三次)。0対0から先制の2点適時打の後だった。
「1点欲しかったので頑張りました」
5月31日、
阪神戦(マツダ
広島)。これも0対0から先制適時打の後だ。
球団広報を通してのコメントだからでもあるが、
菊池涼介のコメントは、いつもシンプルである。
タナキクマル──。
ショート・
田中広輔、セカンド・菊池涼、センター・
丸佳浩。攻守走そろった同級生の3人の縦横無尽の戦いが、カープ3連覇の原動力となった。脂の乗り切った彼らと、ベテランの
黒田博樹、
新井貴浩、年下の
鈴木誠也らと相乗効果が難敵たちを3年続けて圧倒し、頂点に導いた。
しかしオフに丸がFAで
巨人に移り、田中広は打率.191の大不振で、ついに連続試合出場がストップ。スタメンの座を新人・
小園海斗に譲った試合もある。
唯一、存在感を示すのが、菊池涼だ。得点圏打率.418は規定打席到達者では、リーグトップ。過去の自身最高は15年、.343で、このときは打率.315、今季は.279だから、いかに打席で集中しているかが伝わる数字でもある。
今季、メジャーへのポスティング希望を明言して臨んだ。ある意味、“カープの菊池”のラストイヤーとなる覚悟も持って臨んだはずだ。
菊池涼はキャンプイン前に、こう話していたという。「1試合1試合、143試合で143回、何でもいいんで、一つでもチームに貢献したい」。打撃、走塁、守備、どんな場面でも、どんなことでも、チームのために“必死に頑張る”のが、菊池涼のスタイルなのだ。

天才的な守備は相変わらずだ/写真=榎本郁也