長年、赤字体質が続いていたロッテが、2018年に球団史上初の黒字転換、19年も2年連続で黒字収支を達成した。劇的なV字回復の裏側にあった地道な営業努力を探る。 
多くのファンでにぎわうZOZOマリンスタジアム
“攻めの姿勢”を貫きプラスのサイクルに突入
今オフの補強戦線で“主役”を張ったロッテ。球団単体では数年前まで20数億円の赤字を抱えていたが、2018年には球団初となる約4億円とも7億円とも言われる黒字化に成功した。19年も8億円に迫る営業利益を生み出すまでに成長した背景には、山室晋也前球団社長(現清水エスパルス球団社長)をはじめとする球団の地道な改革があった。
山室氏は「みずほ銀行」の支店長時代は常に好成績を記録。16期中15期で表彰を受ける快挙を達成するなど、エリート街道を歩んできたことから当時、流行したドラマの主人公にかけて“リアル半沢直樹”のニックネームがついた。
同行を退職した際は多くの企業からオファーを受けたが「すでに経営的に上向きになっている企業よりも、自分が力を出して上向きにさせられる企業を選んだ」と14年にロッテの球団社長に就任。着任前の過去10年の赤字額は、推定で年平均27億円とも言われていた。
ロッテ本社からの補填(ほてん)が入ることで“帳尻”を合わせていた「どん底」の状況を目の当たりにして、最初に着手したのは「従業員の意識改革」だった。「各部署の人間が、それぞれ好きなことをやっているように見えた。見ている方向がバラバラで、みんな能力は高いものを持っているけど、それがファンのほうに向いてなかった」。
収益を上げるためにはいったい何が必要か──。従業員にこのマインドが足りていなかった点を瞬時に見抜き、手を打った。自らがプロジェクトリーダーとなり15年から・・・
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