この豪快なスイングを見よ。上半身がねじり切れんばかりの強振が最大の魅力で、ライトスタンドにも大きなアーチを掛ける。誰が呼んだか、“ダイナマイト・シンゴ”。昨オフに日本ハムからやってきた24歳の若武者は鎌ヶ谷(日本ハムの育成施設)育ちのガツガツ系。まるで“巨人らしくない男”がチームを変える。 取材・構成=坂本匠、写真=小山真司、大泉謙也 1打席、1球が勝負。次の打席はない覚悟で
若手の伸び悩みに頭を抱えていたチームに救世主の登場だ。昨オフに日本ハムからトレード加入した24歳の石川慎吾が、外野の定位置争いに参戦中。どんな状況でもフルスイングできることが魅力で、かつ関西人の血が滾るのか早くも盛り上げ役に。良い意味で巨人らしくないプレーヤーが、2年目を迎える由伸巨人を“新化”させる。 ──バットが振れていますね。スイングに迷いが感じられません。
石川 自分で感じるものはありますが、「振れている」、「調子がいい」というのは見てくださっている皆さんが判断してくれれば。僕自身は、毎日が勝負だと思ってやっている結果です。この1打席が終わったら、次の1打席はないかもしれないという気持ちですね。
──今シーズン2本目のホームランとなった5月7日の
中日戦[ナゴヤドーム]も、8点ビハインドの9回の最終打席、二死走者なしからライトスタンドに放り込む一打が印象的でした。試合後、
高橋由伸監督も「どんな状況であっても打たなくちゃいけない。大きな1本でした」と評価していました。プロである以上、状況に関わらず、ムダにはできない1打席という考えですか。
石川 それは少し違います。僕の中では、「ここから8点取って、逆転で勝つ」という気持ちで打席に立ったので。新聞などでは『一矢報いる~』のような形で記事にしていただいているんですが、ちょっと違うイメージですね。ダイヤモンドを回っているときは、逆転するにはもう1度、打席が来るなと、すごく集中していました。
──自分の結果だけではない。
石川 チームの結果がすべてなので。言い方は悪いかもしれませんが、やっぱり僕ら選手はそのためのコマだと思っていますし、首脳陣が足りないと思うところを埋められる選手になりたい。その中でしっかりと1打席1打席に向き合おうと思ってやっています。
──プロ入りから昨年までは日本ハムで5シーズンを過ごし、一軍では103試合のキャリアを持っています。リーグが変わり、セとパの違いをどう感じていますか。
石川 間違いなく違うのは、投手が打席に入ることです。早い回でも展開によっては九番・投手の場面で代打の可能性がある。それに、打順の巡り合わせで、七番に投手が入って、九番に野手が入っているケースでの代打なども多いので、試合の流れが読めなくて、戸惑うことがありました。パ・リーグなら6回以降にならないと動くことはほぼないですからね。日本ハム時代、僕はベンチスタートが多いですから、その感覚でいると・・・
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