横浜・DeNAで16年間、プレーした石川雄洋。昨季限りで戦力外通告を受けたが、まだ燃えたぎる思いは消えなかった。静岡で続けた孤独な自主トレ。吉報を待つ日々は果たして――。 
静岡での自主トレでは雑念を払って練習に没頭した
大きかった退団の反響
静寂に包まれた室内で鋭い打球音が響き渡る。元DeNAの石川雄洋は他球団から声をかけられる可能性を信じ、1月は静岡県内で自主トレを続けていた。
「悔いは残したくないので、いつ呼ばれてもいいように準備だけは万全にしておきたい。体の状態はいいです。野球をやめた後のことは考えていません。最後までやり切って、その後に決めればいいですから」
横浜・DeNAで16年間プレーした。通算1003安打を積み上げ、DeNAの初代キャプテンを務めた。野手最年長となりチームの精神的支柱だったが、昨季は一軍出場なしに終わり、戦力構想から外れていることを通告された。
「この年齢(34歳)で1試合も出ていないので覚悟はしていました。シーズン中は『一軍に上がるかな?』と期待したタイミングもありましたが、こればかりはチーム事情もあるので仕方ないです。DeNAには感謝の思いでいっぱいです。自分よりうまい選手はたくさんいたのに、歴代の監督に使っていただいた。高卒でプロに入団したときはレベルの違いに愕然(がくぜん)として、16年間もプレーできると思わなかったですから」
退団の反響は大きく、連絡が次々に来た。2019年に
巨人から加入し、2年間ともにプレーした
中井大介からは「僕がベイスターズに入ったときに食事に誘っていただいたり、(球場の)ロッカーで話しかけていただいたおかげでチームになじむことができました。来年もタケさんとグラウンドで顔を合わせられるように僕も精進します」とLINEで長文の文章が送られてきた。
山崎康晃、
今永昇太と球場の施設で会った際は長い時間話した。「中井もそうだし、康晃、今永もいい子だから心配してくれましたが、僕のことなんていいですよ。湿っぽく別れたくないんですよね。康晃と今永には直接会ったので頑張れよと伝えました。球団の未来を背負う選手ですから活躍してもらわないと」と後輩への愛情を口にする。
チームメートだけではない。横浜高の同級生・
涌井秀章(
楽天)から・・・
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