捕手として入団するも、当時の指揮官に直訴して外野手に転向した。順風ばかりではなかったが、逆境に屈することのない姿がファンの共感を呼ぶ。10年目の今季も、そのバットで、声で、チームメートを鼓舞する。この男のガッツは今のチームに欠かせないものだ。 ※年齢は2021年の満年齢。成績ほか情報は9月30日現在
取材・構成=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎 
ホームに生還すると、ベンチに向かって力強くガッツポーズ。岡島の熱い気持ちがチームに伝わる
不変の男
ファンが待ち続けた男がパワーアップして戻ってきた。楽天が初のリーグ優勝を成し遂げた2013年にリードオフマンとして大きく貢献した元気印もケガや手術を経て、気が付けばプロ10年目だ。ケガの影響で結果が残せない日々も過ごしたが、今季は打線の中軸を担うなど頼れる男としてチームを支えている。中堅からベテランの域に差し掛かる岡島豪郎だが、熱いプレーと勝利への執念は入団当初から変わることはない。 ◎
──今シーズンは開幕こそ二軍スタートとなりましたが、4月10日の昇格後以降は勝負強い打撃で打線に欠かせない存在になっています。
岡島 これまでの成績から考えると、ここまでは出来過ぎだと思います。ただ、今までずっと前を向いて練習してきたので、本当によかったなという思いもありますね。残り試合はわずかですので、最後まで頑張りたいです。
──15年以降はケガに悩まされ19年には左肩の手術、その後の苦しいリハビリを乗り越えてきたからこそ今がある。頑張ってきてよかったなという思いは。
岡島 素直にそういう思いもありますし、これで納得はできないなという思いもあります。そしてやはり優勝を目標にやってきているので、今は優勝したい思いだけですね。
──今季は二塁打(29)や本塁打(8)で自己最多数をマークするなど長打が多い印象を受けます(9月30日現在)。その要因はどこにあると感じていますか。
岡島 これが直結しているかは分からないのですが、真剣にトレーニングをしています。いや、いつも真剣にトレーニングはしているのですが(笑)、今まであまり好きではなかった下半身のトレーニングにも力を入れました。トレーニング自体はもちろんこれまでもしていたのですが、自分の中では重要視していなかったというか、あまり比重を置いていなかったんですよね。量もあまり多くなかったですし。ただ、トレーニングに対する自分自身の姿勢や意識がケガをしてからすごく変わりました。
──17年の試合中にフェンスに激突して左肩を脱臼し、その影響から19年には手術を行いました。やはりこれらの影響が大きかったのでしょうか。
岡島 肩の手術をしたあとは思ったように左肩が動かなかったので、下半身のトレーニングを多めに取り入れることにしました。そして昨年、新型コロナの影響で自粛期間があり、そこでいろいろな勉強をすることもできたんです。体に対する勉強や、どうやったら自分に必要な筋肉が鍛えられるのか、そういったことを自分自身で学び、理解することができた。自粛期間を勉強に充てることでその時間も有効に使えたんですよね。もちろんすぐに結果が出たわけではなかったのですが、今年はその成果を少しずつ感じることができています。
──気持ちの面も含め、より効果的なトレーニングを行った成果が表れ始めたのですね。
岡島 もちろんそれがすべてではないと思うのですが、多少の影響はあるのかなと思っています。
──二塁打に関しては、次の塁を積極的に狙う姿勢や打球判断も重要になってくると思うのですが、意識の変化などはあったのでしょうか。
岡島 先の塁を狙うという意識は・・・
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