ここまで不動の四番、あるいは新常識に挑むBIGBOSS(新庄剛志監督)の四番論などを紹介してきた。ここでは各球団を横並びにしつつ、これまで触れていない球団を中心に各チームの四番事情に迫ってみたい。 広島の新四番問題
セで首位の
ヤクルトは史上6位となった連続先発四番出場を続ける
村上宗隆で不動。2位の
巨人は体調不良で
坂本勇人が代役を務めた3試合以外は、すべて
岡本和真が四番に座っている。大胆に打線に手を加える
原辰徳監督も「うちの四番バッターだからね」と、5月の不調時にも我慢強く復調を待っていた。
3位の広島は
鈴木誠也のメジャー移籍により開幕前から「新四番」が最大の課題と言われていた。首脳陣が下した答えは、新助っ人・マクブルームだ。新型コロナ禍で来日が遅れて開幕4戦目までは
松山竜平が入ったが、一軍合流した3月30日の
阪神戦(マツダ広島)からは、前日の頭部死球の影響を考慮された4月8日の1試合を除く68試合で、背番号10がその座に座る。ただ、現四番に求められる役割は、鈴木が担っていたときとは少し違う。今季チームが掲げるのは“つなぎの野球”。本塁打が出るに越したことはないが、切れ目のない攻撃で1点1点を積み重ねていくスタイルだ。マクブルームも打線の一員として、状況に合わせたチーム打撃を心掛けている。
最下位から4位に浮上した阪神は
佐藤輝明。一時は
大山悠輔が入ったこともあったが、5月7日以降は不動だ。大山が好調時でも変えなかったのは、
矢野燿大監督の信頼とさらなる成長への期待の表れだろう。
DeNAは前キャプテンであり、長く四番を務めた
筒香嘉智が2019年限りでメジャーに移籍すると、後釜には
佐野恵太が座り20年に首位打者のタイトルを奪取。昨年は佐野が三番に回り、四番には助っ人
オースティンが存在感を見せつけた。今季はケガのオースティンに代わって2年目の
牧秀悟が開幕から四番を任されている。
中日は来日1年目の16年から
ビシエドが不動の四番。ただし開幕からこれほど苦しんでいるシーズンは初めてではないか。投手方向に体が突っ込んでしまう悪癖が治らず、凡打を重ねるシーンが目立ち、「代わりがいないから」と我慢していた
立浪和義監督も、5月11日のヤクルト戦(神宮)でついに四番から六番に下げた。絶不調からは立ち直ってすぐに四番に戻ったものの、ここまで7本塁打&26打点は物足りない。しかも復調気配にありながら、左肩の炎症を訴えて21日から登録抹消。代役には
阿部寿樹、
A.マルティネスが名を連ね、6月24日の阪神戦(甲子園)では
青柳晃洋対策として
木下拓哉がプロ初の四番と日替わり四番の苦しい状況が続いている。

ビシエド[中日/内野手 33歳]
四番に求められるもの
ソフトバンクの
藤本博史監督が就任時に掲げたのは『攻める野球』だった。競争を促す一方で、クリーンアップに関しては早い段階で固定を明言。四番を託されたのがY.
グラシアルだった。昨季は右手のケガでシーズンを棒に振ったが、持ち前の長打力と勝負強さは四番を任せるにふさわしい。しかし、開幕後はなかなか調子が上がらず。安打が出ても一発が少ないのが、本来の姿とは言いづらかった。指揮官は出遅れていたA.
デスパイネが一軍昇格して数試合様子を見たのち、グラシアルの打点の少なさなどを理由に、6月9日の阪神戦(PayPayドーム)から打順を変更。四番にはデスパイネが座っている。

A.デスパイネ[ソフトバンク/外野手 36歳]
楽天は
浅村栄斗が2019年に
西武から移籍して以来、四番、そして主砲の肩書きを背負ってきた。しかし、昨季途中から
島内宏明が四番に固定されると、得点圏で抜群の勝負強さを発揮。打点王に輝いた。
西武は
山川穂高で不動。故障もあって出場試合が少ないにもかかわらず、24本塁打は2位の浅村の12本差をつけている。不在時には
中村剛也、
外崎修汰らが座ったが、復帰後は変わらず四番でにらみを利かす。
オリックスは今季も昨季のホームラン王・
杉本裕太郎を開幕から四番に据え、主砲として大きな期待を寄せた。ただ大不振に陥ると、三番の
吉田正尚を四番に置くなど打順を組み換え。さらに
頓宮裕真や巧打者タイプの
西野真弘、
中川圭太らも座るなど試行錯誤。ときに“つなぎの四番”を求めることもあったが、一発長打の破壊力が三番に座る吉田正との相乗効果でさらに相手の脅威となることは、昨季の杉本が証明している。それだけに、交流戦から背番号99が復調すると、再び四番に据えた指揮官は「こっちとしては、どんだけ誤算やねんというところ」と冗談交じりに喜びを口に。走者を置いての本塁打を避けるため、吉田正と勝負せざるを得ない状況をつくり出すことができる長打力。四番に求められるのは、そうした存在感でもある。

杉本裕太郎[オリックス/内野手 31歳]
ロッテは若手の
安田尚憲、
山口航輝の“YY砲”に四番争いが期待されたが、開幕は
レアードが四番に座り、その後は
マーティンと助っ人に頼らざる得ない状況に。ただ、その両助っ人も今季の調子は今ひとつで、打線の破壊力が欠ける形が続く。強打が武器の捕手・
佐藤都志也が座ることもあったが、現在も日替わり四番となっている。それでも、安田、山口の“YY砲”が四番に入ることも増え、理想の姿に近づきつつある。ただ、そもそも打線の売りは機動力を駆使して1点をもぎ取る巧みな攻撃。当然、一発長打も求められるが、
井口資仁監督が最も求めているのは、状況に応じた打撃。犠飛に加え、内野ゴロでも打点を挙げることだ。

レアード[ロッテ/内野手 35歳]
日本ハムは昨年、10年近くにわたって四番を張ってきた
中田翔がシーズン途中で巨人へ移籍。21年は
近藤健介が四番を務めた。BIGBOSS体制となった今季はチームの方針もあり、日替わり打線が組まれるが、5月ごろから将来の主砲候補である
野村佑希が座る機会が増えている。

野村佑希[日本ハム/内野手 22歳]