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<2023大学野球展望>神宮の杜で繰り広げられる「本塁打」と「打点」のロマン 慶大・廣瀬隆太、明大・上田希由翔。主将としてこだわる勝利と数字

 

明治神宮野球場を舞台に2023年春も熱戦が期待される東京六大学リーグ戦。最終学年となる4年生に2人の注目スラッガーがいる。一振りで流れを変えるフルスイング。明大と慶大の主将は、お互いを認め合うライバルである。

慶大・廣瀬[右]は3年秋までに現役最多13本塁打、明大・上田[左]は50打点。リーグ史に残る打棒に注目が集まる(写真=矢野寿明)


リーグ記録更新の可能性は!?


 神宮を本拠地にする東京六大学で脚光を浴びるのは、明大・上田希由翔(愛産大三河高)と慶大・廣瀬隆太(慶應義塾高)の4年生スラッガーだ。お互いに「ライバル」として意識し、新チームでは主将に就任し、チームをけん引する立場となった。

 廣瀬は現役最多13本塁打をマークしている。歴代トップは慶大・高橋由伸(元巨人)の23本塁打。廣瀬は1年秋から2、1、3、4、3と着実に数字を積み重ねている。ミートすればスタンドインできるパワーを秘めている。シーズン最多は法大・田中彰(2004年秋)、慶大・岩見雅紀(17年秋)の7本塁打であり、さらに確実性が増せば、量産も十分に可能だ。廣瀬は「高橋さんの記録を塗り替えたい」と、26年ぶりの更新へ意欲を示しており、バットから目が離せない。

 廣瀬が「本塁打」ならば、上田は「打点」である。22年は16年以来となるリーグ戦春秋連覇に貢献。1年時から不動の四番は1年秋から7、5、13、15、10と数字を積み上げ、通算50打点。60打点以上は過去に19人おり、3年春の自己最多ペースを継続できれば、歴代1位の早大・岡田彰布(現阪神監督)の81打点に追いつく可能性を秘めている。

 2人は22年に侍ジャパン大学代表でチームメイト。右、左打者で異なるとはいえ、同じ強打者で切磋琢磨し、高め合ってきた。廣瀬は3年秋は一塁手を守ったが、新チームでは遊撃手への挑戦の意向を明かす。また、上田は3年春は一塁手、秋は三塁手でベストナイン受賞と、プレーの幅を広げた。東京六大学のキャプテンナンバー10を着ける2人が、神宮の杜を盛り上げる。

 このほか23年の東京六大学の主将を紹介すると、早大・森田朝陽(高岡商高)は3年秋までは主に代打の切り札として活躍。取り組む姿勢が良く、まさしく練習の虫。背中で、チームを変えていくだけの存在感がある。法大・今泉颯太(中京大中京高)は好打の遊撃手で、22年12月の大学日本代表候補合宿に参加し、刺激を受けて戻ってきた。野球センスが抜群であり、NPBスカウトも注目している。立大・西川晋太郎は智弁和歌山高で1年夏から3年夏まで5季連続甲子園出場。立大でもコツコツと練習し、最終学年は経験値を武器に、17年春以来のリーグ優勝を狙う。

 東大・梅林浩大は静岡高で3年春のセンバツ甲子園に出場。1年間の浪人を経て、赤門をたたいた努力家である。左打席からシュアな打撃を見せ、最終学年はチームとして悲願となっている1998年春から最下位脱出を、背番号10のキャプテンとして体現するつもりだ。

3年生も注目!! 広陵高出身コンビ


 東京六大学には安打製造機がいる。明大の3年生・宗山塁だ。1年春から出場し、1年秋にはベストナイン初受賞。2年春に初の首位打者を獲得すると、2年秋まで3季連続ベストナイン受賞。4シーズンで通算61安打を放っている。同連盟の記録は明大・高山俊(現阪神)の131安打で、2年秋の時点では62安打と、早くも記録更新に注目が集まる。1年時は春、秋で計1本塁打だったが、2年時は春3本、秋4本とパワーアップも証明。堅実な遊撃守備を含めて完成度が高く、あるNPBスカウトは「2022年の対象選手の中でも1位指名は間違いない」と言われた逸材だ。

 広陵高では主将を務めたが、3年夏はコロナ禍で甲子園出場をかけた広島大会が中止。広陵高・中井哲之監督は当時を「ミーティングも多かった。腐らずに一生懸命やってくれた」と振り返る。宗山は気持ちの浮き沈みのないタイプだが、高校時代から「淡々と言い聞かす。後ろ姿でチームをけん引していた」と、中井監督は明かす。広陵高には3年夏の大会以降も、2年生以下の練習を手伝う伝統がある。宗山も明大へ合流するまでの期間、後輩への助言と同時に、自らと向き合ったことが、1年春からの活躍につながった。中井監督は今後の記録更新について「抜けるんだったら、抜いてほしい。そんなに甘いものではないと思いますが……。ケガ、故障だけは気を付けてほしい。私は広島から応援しています」と優しく笑った。

 関西六大学にも3年生スラッガーがいる。中井監督の出身校でもある大商大・渡部聖弥だ。22年秋のリーグ戦でリーグ記録を更新する5本塁打をマークした。2年春の1本塁打を加えて通算6本塁打。宗山と同じタイミングの2年春に初の首位打者に輝き、2年秋までに55安打と量産している。50m走6秒1の俊足で、遠投110mと高いポテンシャルを誇る。渡部はリーグ記録を更新する12本塁打の数字を狙っている。

「飛ばす力は宗山よりも上でした。足と肩がある。内野手から外野手に転向させ、すぐ順応し、適応能力がある。渡部と宗山は高校時代に同じクラスで席も隣。渡部は相当ライバル視していると聞いています。楽しみな2人です」。中井監督は目を細めた。

 2人は22年12月に行われた大学日本代表候補合宿(愛媛・松山)に参加した。すでに宗山は侍ジャパン大学代表として、22年夏のハーレムベースボールウイーク(4位)でプレー。同合宿でも攻守において存在感を見せ、渡部も3日間で持ち味の打撃でアピールした。3年生ながら野手でも、実力は抜けた存在であるという。23年は日米大学選手権(アメリカ)が開催される。6月の最終選考合宿を経てからになるが、広陵出身コンビが23年、大学日本代表の主軸として期待される。

明大・宗山[右]は2年秋までに67安打、大商大・渡部[左]は2年秋までに6本塁打、52安打。折り返しとなった残り2年間4シーズンに期待が高まる(写真提供=全日本大学野球連盟)


■2023年主な大学の主将一覧

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