競馬の予想ならば「大穴」だ。だが、春季キャンプ初日に圧倒的に多くのサク越えを放ったのは不惑の大砲・
松中信彦だった。並み居るライバルたちと並んで入ったケージから67スイング中17発ものアーチを描き、「バッティングは良かった。準備してきたことを体で示せたと思う」と手応え十分の笑みを浮かべた。
崖っぷちを迎えた。昨年は6月に代打起用の不満から交流戦優勝セレモニーをボイコット。その懲罰もあり、シーズンは二軍暮らしだった。9試合、打率.200、1打点。かつての三冠王は97年以来16年ぶりの本塁打ゼロに終わった。追い打ちをかけるように
オリックスからは12年の打点王・
李大浩、元キューバ代表で11年のメキシカン・リーグ首位打者であるカニザレスが加入。ただ、初日は右打ちに専念していた李大浩は57スイング中0発、カニザレスは68スイングで4発だけ。初日は松中の圧勝だった。
カリスマトレーナー・ケビン山崎氏のトータルワークアウトと契約し、体脂肪6パーセント減の16パーセントまで絞り込んだ肉体は全盛期のキレを取り戻した。15日の紅白戦(アイビー)の6回二死一塁、カウントは2ボール2ストライク。松中は大場の内角高め138キロの直球を右翼線へ引っ張る。「変化球を待って直球を打てた。全盛期にはあったが、近年はなかった感覚」。10年前、最強打者の称号を思うままにしていた男は復活の手応えをその手に感じている。
李大浩はまだ、底を見せたわけではない。カニザレスも虎視眈々と狙う。最初からビハインドのある松中は結果を出し続けるしかない。ただ、それだけの力を出せる状態にあるのは紛れもない事実だ。