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白井一幸 コーチ #90

白井一幸コーチ カムバックした名伯楽が強い思いを胸に

 



 ダイヤモンドに力強いノック音、選手以上に大きな甲高い声が響く。古巣の復興へかける強い思いが、凝縮されている。白井一幸内野守備走塁コーチ兼作戦担当。春季キャンプの雰囲気をガラリと変え、立て直しへの旗手として7年ぶりに復帰した。「やるべきことをできるチームにしたい」と基礎からの土台づくりを掲げる。

 球団史に残る名参謀がカンフル剤になる。ヒルマン元監督を支える右腕、ヘッドコーチとして06年に25年ぶりのパ・リーグ制覇と44年ぶり日本一、翌07年の球団史上初のリーグ連覇に貢献した。生命線になった戦略構築の中心人物。投手を中心にした守り勝つ野球を浸透させた1人だ。「当時と同じようにではないが、それが薄れてきている」との危機感から、またユニフォームを着た。

 世代交代が必須なチーム事情を考えた上で、適任者と言える。04年に札幌ドームへ本拠地移転後の躍進の原動力になった田中賢介森本稀哲らを二軍監督時代に育成。今季も中島、西川ら内野手は若手がレギュラー候補。中田も三塁転向に挑戦中と刷新を図っている渦中だけに、過去の指導者としての経験値は生きる。キャンプでは指名特守などで明確な狙いの下で、徹底的に鍛え上げている。

 作戦担当の肩書きも持ち、攻守のサインプレー、チームの決め事なども新たに設け、見えない部分での改革も担う。同い年の栗山監督が「カズ(白井コーチの呼称)がいると雰囲気が違うよね」と目を細めるほど、周囲からも全幅の信頼を置かれている。熱ある指導の根底にあるのは、古巣への強い愛着と思い。白井コーチは「自分ができることは全力で取り組む」と誓いを胸に、勝負をかける。
オーロラビジョン

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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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