交流戦で10勝8敗と勝ち越した原動力は、12球団で2番目に高いチーム打率.286と活発だった打線だ。中でも不動の三番打者、
角中勝也が打率.427と打ちまくった。秋山(
西武)の.432、柳田(
ソフトバンク)の.429にはわずかに及ばなかったが、堂々の3位。32安打は秋山と並んでトップだった。
もっとも印象に残る活躍を見せたのは、6月2日の
阪神戦(甲子園)だ。2対3の9回、マウンドには阪神のクローザー・
呉昇桓。二死無走者から味方が粘りを見せ、満塁で打席が回る。3球で追い込まれながら、フルカウントまで粘って9球目。「低めに変化球が来たらごめんなさい」と割り切り、内角高めに浮いたスライダーを振り抜いた打球は右翼席へ。起死回生の満塁本塁打で勝利に導き、「二死から回ってくると思わなかった。つないでくれた人のためにも打ちたかった」と言葉も弾んだ。
4安打と固め打ちした交流戦最終戦の15日、
ヤクルト戦(神宮)では打撃技術の高さを感じさせた。5回の第3打席。一死一、二塁で投手が左の久古に代わった直後だった。ここも2球で追い込まれたが「追い込んでくれてラッキー。シンプルに考えられる」。8球目、見逃せばボール球という低めをライナーで右前へ運ぶ。当てるのも難しい高さの球を完璧にとらえ、「あれは僕にとってはストライク」とさらりと口にした。
交流戦序盤で
デスパイネが故障離脱し、チーム打点王のクルーズもやや調子を落としていただけに、角中の17打点は際立つ。「三番なんで、決める役もあるし、つなぐ役もある。チームが打ってほしいと思うときに打てるようになりたい」との言葉を、結果で示した。