今シーズンの働きを次のステージに生かしたい。鮮烈デビューを飾った
原口文仁にとっては、定位置を確立する準備を整えた年でもあった。
若虎に対して金本監督は「来年に向けて、どれだけのものを見せてくれるか」とサバイバル戦を強調する。
4月27日に支配下選手登録された原口。育成枠からはい上がってきた男は「死に物狂いで戦う」と、まさに一投一打に懸けてきた。
「まずはバッティングで自分のスイングをすることです。いろいろ役割がありますが、そこでしっかりとプレーしたい」
帝京高では全日本の捕手も務めた実績をもつが、一軍昇格後はそれ以外に「一塁」「DH」「代打」などで潜在能力を測られてきた。
初めて一塁に就いた6月20日の
オリックス戦(甲子園)で6号2ラン。また8月30日の
中日戦(ナゴヤドーム)で10号を記録したのも先発一塁だった。
阪神一筋の捕手としては85年
木戸克彦以来の2ケタ本塁打。ゴメスの好不調が著しいことから、原口が一塁のポジションに回っている。
「捕手のときはどうしたら投手が気持ち良く投げてもらえるかを考えます。一塁のときもリラックスしてもらうのに気付いたときは声を掛けているつもりです」
9月に入って打率3割を切ったが、今後も最大の魅力である打力を生かした起用が続く。金本監督が「期待感の持てる働きを」と望んだように、その生き場所で結果を残していく。