クライマックスシリーズに向け、弾みのつく勝利だった。3位が確定し、球団として31年ぶりとなる2年連続Aクラス入りを果たした9月24日の
オリックス戦(QVCマリン)。9回一死まで0対2とリードされながら、中村の2ランで追い付き、延長10回に
細谷圭がサヨナラ打を放つ。伊東監督は「9割方、ダメだと思っていた。最高の形で締めくくることができた」と目を細めた。
起死回生の一発を放った中村は、試合前まで打率.186と苦しんでいた。平野に対し、フルカウントから真っすぐを6球続けてファウル。「フォークを見逃して三振なら仕方ない」と腹をくくっていた。最後は持ち前の思い切りのいいスイングでとらえた。
延長10回無死満塁。試合を決める左前安打を放った細谷は「なかなかこういう状況で回ってくることはない。みんながつくってくれたのを生かせるように」と打席に立った。低い弾道のライナーを放った瞬間、右手を突き上げて走り出し、「ヒットを打つより外野フライを、というのが力みにならずに出た」とうなずいた。一塁を回ると、すぐに歓喜の輪が広がった。
後半戦は我慢の戦いが続いていた。3連敗と4連敗が2度ずつに、5連敗も1度。細谷は「ウチが良かったときは、みんなでつないで逆転が多かった。今日もそういう形が取れた」と胸を張った。下降線をたどった時期にはなかった粘り強さを発揮し、原点を取り戻す大きな1勝となった。