
交流戦開幕カードで約1年半ぶりの一軍マウンドに上がった和田
汗ばむ陽気のファームで、心地よさそうに腕を振った。「翌日の肩に何事もなければ」と注釈はつけながら「どうだ、と聞かれたら、『いけます』と言いたい」と声を弾ませた。左肩故障からの復帰を目指す
和田毅。5月29日のウエスタン・
中日戦(タマスタ筑後)、今季7度目の二軍戦で最長の7回を92球で投げ切って、3安打無失点の好投を演じた。
前の週、同じ相手に敵地で4被弾、5回6失点だった。そこで一念発起。打者の手元で小さく変化してバットの芯を外すツーシーム、カットボールをより生かそうと、プレートを踏む位置を一塁側から、メジャー時代のように三塁側へ変更した。「投げミスでも結構、打ち損じていた」。
同学年の中日・
松坂大輔の姿に「勇気をもらった。背中を押してもらえた。勝手にだけど」と笑う。登板前日、同じ場所で、松坂が右肩故障から実戦復帰。変化球で2回を完璧に抑える姿に感じ入った。「ああいう投球は大事。僕も昔みたいにバンバン空振り、ファウルは取れない」。プレートを踏む位置を変える決心を、固くした出来事だった。
二軍から報告を受けた
工藤公康監督は「投げた後の状態を確認して、問題がなければ考える」と復帰に言及した。ちょうど始まった交流戦で、和田は
ロッテ涌井秀章と並んで現役最多の通算24勝。『松坂世代』の盟友でありライバルだった
杉内俊哉が歴代最多で通算26勝だ。2017年、
DeNAとの日本シリーズ第4戦以来となる一軍マウンド(6月5日の中日戦=ヤフオクドーム)では5回2失点で勝ち負けはつかなかったが、この先何が待つか。
写真=湯浅芳昭