
じっくりと調整し、一軍昇格をうかがう渡部
昨秋のドラフト目前、桐蔭横浜大4年時の秋季リーグ戦で10試合中、8本塁打と大暴れし、
西武からのドラフト1位指名を勝ち取った
渡部健人。だが、大学4年間は順風満帆ではなかった。中でも苦しんだのが大学3年時だ。相手からの厳しい内角攻めに、自身の打撃が完全に崩され、深い迷いへと入り込んでしまったのである。
試行錯誤が続いたまま4年に進級すると、思いもよらない出来事が待っていた。新型コロナウイルス感染拡大による春季リーグ戦中止と活動自粛。常にプロ入りを志望し続けてきた渡部にとって、春季リーグという大きなアピールの機会を1つ失うこととなったが、結果として、この期間こそがプロ入りへの扉を開く貴重な時間となったのである。
自粛期間中、打撃フォームの改善に尽力する中、OBコーチからタイミングの取り方として、
大田泰示(
日本ハム)の足の使い方を参考にすることを提案された。それにより、軸がブレず、長くボールを見られるようになったという。加えて、同OBからの「お前は軽く振っても、当たれば飛ぶ」との言葉によって、「飛ばそう」というムダな力みがなくなったことで、自然とコンタクト率が上がっていった。それが、冒頭の成績へと結びついた。
それでも、決して現状に満足することはない。「プロとアマチュアは全然違うと思うので、また作り直したほうがいいと思っています」。入団早々、“プロ仕様”へのバージョンアップにも積極的に取り組んでいる。その中で、春季キャンプをケガの影響でB班スタートとなった
山川穂高とともに過ごせたことは最高の財産だ。
関係者、ファンが心待ちにする
中村剛也、山川、渡部の“大砲三銃士”共演の今季実現へ向け、ガムシャラに成長を目指す。
写真=BBM