玄人好みの守備の名手は、まだまだ若手に負けない。遊撃のレギュラーだった安達了一は、今季途中から二塁にコンバートされた。
「セカンドの練習は、あまりしていなかった。(一塁へ)投げるのは近いですけど、もっと練習していかないといけない」
5月5日の
西武戦(メットライフ)に二塁手としてスタメン起用。その後も遊撃を守ったが、基本的に「二塁手・安達」で試合に出場している。
中嶋聡監督は意図を明かす。
「体調のことなどもあって(スタメンに)固定できないのもある。いつ疲れがくるかは目に見えない。代わらざるを得ないときもある」
シーズン途中の転向については「安達とも話した。ショートの負担とセカンドの負担をね。いつまでもショートを守りたいと思うんですけど、本人の体のことを考えたら、少しでも負担が減るのかなと」。安達は2016年1月に難病指定の『潰瘍性大腸炎』を発症。病気と闘いながら今もプレーを続けている。
今季でプロ10年目。広い守備範囲に加え、安定感のある送球を披露するが、ゴールデン・グラブ賞を獲得したことはない。
「1回は……と考えたことはありますよ」とポツリと話すが「僕は体が人より弱い。体幹、バランスを中心に体づくりをしてきました。焦らず、体調を見ながら」とチーム第一を心がける。
今では、T-岡田らとともに、チーム日本人野手最年長。練習では19歳・
紅林弘太郎、20歳・
太田椋、
宜保翔らに的確な助言を送る。安打性の打球をアウトにする。いとも簡単に見せる“遊撃の名手”は、二塁でも奮闘する。
写真=BBM