長男誕生から初めて迎えるシーズンとなる。大野雄大が第3子となる長男を授かったのはシーズンオフの昨年11月だった。
「今回も妻が頑張ってくれました。妻には感謝の気持ちでいっぱいです。三児の父として、野球人として、成長できるよう努めます」
京都・佛教大時代から交際した妻と入団後に入籍した。長女、次女の誕生に喜び、アスリートとしてもステップアップした。父の姿を追わせるのは左腕流。長女が幼いころ、オフの自主トレではバックネット裏で遊ばせがてら、練習を見させた。
昨年12月中旬には、母校の仏教大で、東京五輪・野球日本代表での金メダル獲得の報告会があった。ここに、長男を連れて行っている。まだ、首もすわらない乳飲み子。家族とともに行動すれば、自然と一体感は養われる。
チーム内の役割は新たに、投手キャプテンを授かった。新指揮官・立浪監督の思いは、もの言う主将。そこに込められた思いは「人をしかれる存在であってほしい」。
これまでは、叱れる同僚と行動をともにしてきた。先輩の祖父江にしても、後輩の田島にしてもそう。大野が口を出さずとも、目に余る行動をした若手には周囲がチェックを入れる。だから、大野雄が行動に移す機会はなかった。
2020年の沢村賞に、昨季の金メダル……。球団の看板投手の発言力は大きい。「やるべきことを考え、なりたい選手像がぶれなければ、間違った方向へは行きません」。それは後輩へのエールでもある。
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