
橘高は金足農高との2回戦で1安打完封すると、能代松陽高との決勝でも5回途中まで投げ、独自大会優勝に貢献した/写真=高橋昌江
脅威の好投手カルテット、エース4人が持ち味発揮
新型コロナウイルス感染拡大の影響で地方大会、全国大会の中止が発表されてから約2カ月。明桜高が7月22日に秋田の独自大会の「2020秋田県高校野球大会」を制した。
2017年から4年連続で夏の決勝に進出。頂点に立ったのは3年ぶりだ。18年は甲子園で準優勝することになる
吉田輝星(現
日本ハム)擁する金足農高に敗れ、昨年は秋田中央高に延長11回サヨナラ負けを喫した。あれから1年。誰もが予想していなかった甲子園がない夏。聖地への道は絶たれたが、明桜高は将来性豊かな投手陣で勝ち抜いた。
3年生の
佐々木湧生(ゆう)、
長尾光、
橘高康太、2年生の
風間球打(きゅうた)と4人が140キロ超えのストレートを投げる能力を持つ。それぞれの球質や投球スタイルが異なり、対戦相手にとっては脅威のカルテット。昨年2月からはプロで監督・コーチ経験のある
尾花高夫氏が総監督兼投手コーチとなり、指導を受けてきた。輿石重弘監督は「『4人エース』だと思っている」と自信をのぞかせる。
今夏は1試合、1回1/3のみの登板となったが、佐々木はキレが抜群の横のスライダーと制球力で勝負するタイプ。2試合に先発し、決勝で胴上げ投手となった長尾は縦横のスライダーにスプリット、カットボールと変化球が多彩。完投した準決勝では実に9割も変化球を投じ、由利打線から14個の三振を奪った。
朗希を目標とする2年生は150キロ計測
今夏の5試合中、3試合に先発したのが橘高だ。佐々木が1年春、長尾が1年夏から公式戦で投げる姿に刺激を受け、成長してきた。「すごいなと思いながらも、負けたくないという気持ちがあった。2人とは違う特徴を出していこうと思った」とリストや指先も鍛えて球の回転数を上げ、昨秋の東北大会で146キロをマークしたストレートに磨きをかけてきた。初戦(2回戦)では金足農高を1安打10奪三振完封し、準々決勝、決勝でも先発マウンドを任され、確かな足跡を残した。
3回戦と準々決勝でリリーフした2年生・風間は登板のたびに自己最速を更新。2点差に迫られた8回途中から登板した準々決勝では「3年生を終わらせるわけにはいかない」と気持ちを込めて150キロ。そのストレートが182センチの長身で角度がある上、フォークやスライダーの精度も高い。「
佐々木朗希さん(
ロッテ)みたいになりたい」と昨春、大船渡高で163キロを投じた右腕にあこがれながらも「(3人の)3年生のボールはキレもすごいので参考にしている。技術面でもいろいろと教えてもらっている」と目の前の背中を追う。
一人に頼ることなく、それぞれが個性を生かし、ポテンシャルを高めてきた明桜高投手陣。彼らが思い切り投げられるのも「打たれたら自分のせい。しっかり配球していきたい」と自らにプレッシャーをかけながらリードを考え、変化球を止める五十嵐新平がいてこそだ。
攻撃力も発揮し、全国で最も早く独自大会で優勝。8月9日から宮城県で開催される予定の東北大会に出場する。「3人がいたからここまで来られた。東北大会を優勝して終わりたい」と橘高。全国屈指の投手力を誇るチームで有終の美を飾る。(取材・文=高橋昌江)